ビジネススクールの社会起業大学(東京都千代田区)は、11月から在校生に対して、コンサルティング会社社員によるビジネスプランのブラッシュアップセッションの機会を提供する。これはコンサルティング会社のアクセンチュア(東京都港区)の社員らが、社会起業家を育成する同大学の活動に共感し、個人のボランティア活動として協力するものだ。
同大学では、主に社会人である在校生が5カ月の授業を通じて起業プランを練り上げ、卒業の際に外部審査員を入れたコンテスト「ソーシャルビジネスグランプリ」で競う。今回の取り組みではアクセンチュア社員が、グランプリ前に学生のつくったプランをチェックして内容を「ブラッシュアップ」。事業戦略に加えて、実施方法、スキル開発などの提案を行う。まず来年2月の卒業を目指して、現在学んでいる第4期生(44人)に対してアドバイスを行い、今後も続ける予定という。
社会起業大学は2010年に創立。世の中の問題を企業やNPOでの事業による実践を通じて解決する社会起業家の育成を目指すユニークな学校だ。これまでの卒業生約100人のうち約3割が起業した。同大学のグランプリでは、就職情報を提供するエンジャパンの協力で優勝者に創業資金として100万円、社会的な意義が認められれば最高500万円までを提供する「en-japan大賞」がある。今回の取り組みで社会起業家支援の仕組みが一段と整う。
アクセンチュアは、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業。同社は人々の技量を高めることに協力して社会の成果を広げる企業市民活動「Skills to Succeed」を推進しており、このテーマに沿ったボランティア活動を社員に奨励している。今回の支援も社員らの自発的な活動によるもの。
プロフェッショナル組織が専門スキルを活かして無償サービスをする「プロボノ」が社会的に注目される中で、今回の取り組みはコンサルタントらしい新しい社会貢献の形の例になりそうだ。(オルタナ編集部=石井孝明)