サステナ担当リレーコラム:  KDDI(第一回)

記事のポイント


  1. KDDIは店頭で使用済み携帯電話を回収し、手作業で分解し、再資源化を行う
  2. 手作業での分解作業によりマテリアルリサイクル率は99.8%を実現
  3. 携帯のリサイクルを普及するため学校で「スマートフォン分解教室」も開く

サステナ担当者リレーコラム(33)

企業のサステナビリティ担当者のリレーコラムです。参加するのは、14社のサステナビリティ/CSR担当者の皆さん。SDGsや脱炭素など、サステナビリティの潮流は高まるばかりです。CSR活動もますます重要になっています。各企業の担当者には、「自社の一押し活動」から日々の悩みなどを書いていただきます。第33弾はKDDI サステナビリティ経営推進本部 サステナビリティ推進部に所属する江森美輝さんです。

*CSRリレーコラム参加企業一覧

フジテレビジョン
日本航空
セブン&アイ・ホールディングス
リクルート
千代田化工建設
リコージャパン
帝人
ゴールドマン・サックス
三菱地所
メルカリ
ユーグレナ
パナソニックホールディングス
リクシル
KDDI

使わなくなった携帯電話・スマートフォン、どうしていますか

古くなって使わなくなった携帯電話やスマートフォン、みなさんはどうしていますか。
自宅の引き出しへ大切に保管しておきますか。それとも捨ててしまいますか。
ぜひ、「リサイクル」という選択肢も検討してみてください。

KDDIでは、auショップで使用済み携帯電話を回収し、手作業で分解し、再資源化するリサイクルの取り組みを推進しています。KDDIの携帯電話リサイクルの取り組みをご紹介いたします。

企業価値向上と社会の持続的成長の好循環を目指すサステナ経営

KDDIグループは、企業価値向上と社会の持続的成長の好循環を目指すサステナビリティ経営を推進しています。地球環境保全への一層の貢献を目指し、「KDDI GREEN PLAN 2030」を掲げ、「循環型社会の形成」にも積極的に取り組んでいます。

KDDIグループのサステナビリティ経営

携帯電話リサイクルで「循環型社会の形成」へ

KDDIでは、「循環型社会の形成」に向けた活動の一つとして、携帯電話リサイクルを実施しています。

携帯電話リサイクルは次のような流れで行われます。
① auショップで、お客さまより使用済み携帯電話を回収
② リサイクル工場で使用済み携帯電話を、手作業で分解
基板、液晶、カメラ、プラスチック、ネジなどのさまざまなパーツに分解します。
③ 鉱物資源・各部品を再資源化
基板からは金、銀、銅、パラジウムなどを採取、ネジやアンテナは鉄製品に、プラスチックはプラスチック製品にそれぞれリサイクル

携帯電話の部品を再資源化することで、新たに鉄、金、銀、銅、レアメタルなどの鉱物資源を採掘・精製する必要がなくなり、採掘・精製の際に発生する二酸化炭素の抑制も期待されます。この取り組みを通じて地球環境の保全に貢献することを目指しています。

携帯電話リサイクルの流れ

手作業での分解作業によりマテリアルリサイクル率は99.8%

KDDIでは、できる限り無駄なく再資源化を行うために、すべての分解を手作業で行うことを徹底しています。

手分解により、各種金属、プラスチックなどを18種類に分別することが可能となり、99.8% の高いマテリアルリサイクル率を実現しているのです。ちなみに、残りの0.2%は端末に貼ってあるシールといったリサイクル不可のものになります。

携帯電話手分解の様子

手分解作業の一部は、KDDIの特例子会社・KDDIチャレンジドが担っています。

KDDIチャレンジドではさまざまな障がいのある人が働いています。一般的な事務作業から、社内便の仕分け、社員向けカフェやマッサージ・針灸サービスなど業務もさまざまで、携帯電話の分解・分別業務もその一つです。業務は社員の障がいの特性に応じて割り当てられています。

このように、携帯電話リサイクルの取り組みは、資源循環による環境保全のみならず、障がい者の新たな雇用機会の創出にもつながっています。このことが外部からも評価され、2021年2月、「第18回企業フィランソロピー大賞」(主催:公益社団法人日本フィランソロピー協会)において、「企業フィランソロピー賞 資源の循環賞」を受賞しました。

学校で「スマートフォン分解教室」も

KDDIでは、携帯電話リサイクルの取り組みを多くの人に知ってもらうための活動も実施しています。

例えば、学校やさまざまな場所で開催している「スマートフォン分解教室」。参加者にスマートフォン分解を体験いただき、環境問題や紛争鉱物による人権問題、多様性の尊重などの観点から、携帯電話リサイクルの取り組みがどのようにSDGsにつながっているのかをご理解いただいています。

スマートフォン分解教室の様子

子ども向けコンテンツとして、動画「一緒に学ぼう!スマホの世界」も公開。「mamorino6」などの携帯電話やスマートフォンがどのような工程を経て作られ、使用済みの端末はどのようにリサイクルされるかを紹介しており、キャラクターが登場する映像を見ながらSDGsについて楽しく学ぶことができます。

動画「一緒に学ぼう!スマホの世界」

パートナーとともに取り組むレアメタルリサイクル

ここまで携帯電話リサイクルについてご説明してきましたが、ここで、パートナーと一緒に取り組むリサイクルについてもご紹介させてください。

KDDIは、環境課題に取り組むスタートアップ企業への出資を行うKDDI Green Partners Fundを運営し、パートナーシップを通じた脱炭素社会の実現を目指しています。

2022年9月には、レアメタルのリサイクルに貢献する株式会社エマルションフローテクノロジーズ (所在地: 茨城県東海村、代表取締役CEO: 鈴木 裕士、以下 EFT) に出資しました。

EFTが開発した溶媒抽出技術エマルションフローは、画期的な分離精製技術により、従来技術と比較して低コストかつ高効率にレアメタルリサイクルを可能とします。

今後、ETFと共同で、使用済み携帯電話などのリチウムイオン電池に含まれているレアメタルを新たなリチウムイオン電池の材料として使用可能とする水平リサイクルの実現に向けた実証を行う予定です。
(ニュースリリース:レアメタルのリサイクルに貢献するエマルションフローテクノロジーズへ出資 | 2022年 | KDDI株式会社

EFTが開発した溶媒抽出技術エマルションフローのイメージ

私たちは、サステナブルな社会を実現するためには、企業や組織の枠組みを超えたパートナーシップがより重要と考えています。

従来から取り組んでいる携帯電話リサイクルの活動に加えて、KDDI Green Partners Fundを通じたパートナーとの共創によるイノベーションによって、レジリエントな未来社会の実現を目指していきます。

携帯やスマフォの環境負荷知って

現代の生活において、携帯電話やスマートフォンは生活になくてはならないものとなり、一人一台所有していることが当たり前になってきています。しかし、片手に収まるコンパクトなサイズだからか、その便利な道具を作るまでにどれだけ環境に影響をもたらしているのか、なかなか意識がおよばないという面もあります。

だからこそ、通信会社として責任をもって社会にリサイクルの取り組みの重要性をお伝えし、お客さまやパートナーと一緒になって携帯電話リサイクルに取り組んでいきたいと考えています。

これからも、私たちは「社会の持続的な成長に貢献する会社」として、人々・企業・社会をつなぎ、さまざまなパートナーとともに、地球環境保全に一層の貢献することを目指し、様々な活動に取り組んでまいります。

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