近年、気候変動や環境破壊による環境配慮の高まりを背景に、市場には「地球にやさしい」「環境にやさしい」と称する商品が多く出回っている。
消費者もそれを好んで、あるいは積極的に購入する傾向がある。しかし、このような環境に配慮した消費行動を逆手に取る「グリーン・ウォッシング」という手法があり、消費者は知らず知らずのうちに騙されることもある。。
「グリーン・ウォッシング」は日本ではあまり馴染みのない言葉だが、1980年代の半ばにはすでに生み出されていたようだ。グリーン・ウォッシングとは、「企業のサービスや商品が環境配慮をしているように装いごまかすこと」を表した言葉だ。
例えば、サービス・商品が環境に配慮したものではないのに、緑や環境に関わる画像を使用し、「地球にやさしい」「環境にやさしい」「グリーン」などという表記とともに販売したりするものである。消費者の側からすると、深く考えずに「環境にやさしいのなら」と購入してしまっているのが実情である。
このグリーン・ウォッシングという言葉が、昨年10月25日に発行された欧州新CSR戦略にて取り上げられている。アクション2011-14アジェンダの中の「ビジネスの信頼性」の項目の中に「グリーン・ウォッシングなどの誤解を招く恐れのあるマーケティングに対して、欧州指令の中で特別に対策を取り監視を強化する」というものである。
欧州では、環境配慮に対する高まりを背景に、そのような見せかけの商品が出回っていて、その手口も年々巧妙となってきており、北欧諸国、ベルギー、ドイツ、オーストリア等々の国々はこれらの紛らわしいい広告に関する法律を設けて自国内での対策を整えてきたということもある。
NGOなどは独自調査書を発行し、具体例などを提示、消費者に警告を発してきているが、その具体例の中に残念ながら日本の企業も含まれている。
企業としては、消費者を騙してサービスや商品を購入させるという意識は少ないのかもしれないが、このような指摘を受ける前に、CSR部門とPR部門が一体となって今一度自社の広告をチェックしてみてはいかがだろうか。(在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅)