脱炭素で消えていく機内誌: JALがデジタル版に移行へ

記事のポイント


  1. 世界の航空大手では機内誌の紙版を止め、デジタル版への移行が進む
  2. JALは国際線ファーストクラスで配布する「アゴラ」を夏からデジタル化する
  3. 海外の航空大手も先行、背景に脱炭素と「デジタルマーケティング」も

世界の航空大手では機内誌の紙版を廃止して、デジタル化への取り組みが進む。JALはJALカード会員や国際線ファーストクラス席に配布する「アゴラ」の紙版を3‐4月号で廃止し、今夏からデジタル版に改編する。海外の航空大手も先行する。デジタル化が進む背景には、脱炭素とデジタルマーケティングの狙いもありそうだ。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

機内誌のデジタル化が進む背景に脱炭素やデジタルマーケティングの狙いも

「アゴラ」はJALカードが発行するカード会員向けの情報誌で、国際線ファーストクラスにも搭載する。3-4月号で紙版の発行を終了し、今夏に専用サイトを開設する。JALの主要機内誌である「SKYWARD」は紙版を発行しながら、WEB媒体「SKYWARD+」でも掲載記事の配信を行う。

機内誌の紙版は、連結ベースの温室効果ガス(GHG)の「スコープ3」(サプライチェーン全体の排出量)の面からも無視できない。国内で先行するANAは21年に機内誌「翼の王国」をデジタル化し、年間の紙使用量を1500トン以上減らした。新型コロナ禍の打撃を受けたため、コスト削減の狙いもあったとみられる。

世界の航空大手も機内誌をデジタル化する取り組みが進む。英国航空(ブリティッシュ・エアウェイズ)は機内誌「High Life」を発行するが、20年に紙版を廃止した。デルタ航空やアメリカン航空も機内誌を停止した。今後は、映像コンテンツなどを強化する。

こうした取り組みが進む背景には、デジタルマーケティングを進めていく意図もありそうだ。ブリティッシュ・エアの「High Life」では目的地に応じた飲食店やホテルなどの情報を発信する。

デジタルマガジンは、クリック一つで好きなものが買えるメリットもある。航空各社による機内誌の全面廃止やデジタル版への移行は今後も続きそうだ。

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #脱炭素

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