ペットの笑顔が社会課題も解決: 岡山のペット食品企業の挑戦

記事のポイント


  1. ピュアボックスがペット向けのフードや玩具で社会課題の解決に挑戦する
  2. ペットフードの製造では人の嗜好に合わずに発生する「食品ロス」を活用
  3. 繊維の残反を活用したネコ向けおもちゃ「はぎれネズミ」も展開する 

ピュアボックス(岡山市)はペット向けのフードや玩具を通じて、フードロスや繊維の残反などの社会課題の解決に挑戦する。ペットフードの製造では「食品ロス」などを活用する。22年からは新たに衣服ロスを活用した商品「はぎれネズミ」も販売。淺沼悟社長は「ペットは人の行動を変容させる」と強調する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎) 

繊維産地での残反を活用してネコ向けのおもちゃを作った

ピュアボックスは2003年に創業し、イヌ向けのペットフード事業「ドットわん」を展開してきた。22年からは事業領域を拡大し、ネコ向けのペットフードや玩具の販売も始めた。 

同社では食材ロスとなりがちな素材をペットフードにすることで、食材の価値創出を行う。たとえば、牛の赤身肉は硬くて匂いが強い。人の食材としては好まれない。これまでは廃棄や、安値での販売が行われてきた。 

しかし「イヌはむしろ赤身肉を好む」(淺沼社長)。ペットフードに加工することで、食材としての価値を創出する。ネコ向けの「ドットにゃん」を始めたことで、活用できる食材ロスの幅を広げる。 

「繊維ロス」の活用にも乗り出した。それがネコ用のおもちゃ「はぎれネズミ」だ。全国の十数カ所の繊維産地と連携し、残反や端切れを活用する。それぞれの生産地の特色を生かした個性的なネズミをつくっているのも特徴だ。 

日本には残反などの繊維ロスが年間で170万tあると言われる。その問題を知ったことがきっかけとなった。端切れで何が作れるかを考えて、考案したのが「はぎれネズミ」だった。 

1つの「はぎれネズミ」で使用する繊維の量は、ロスの量に比べるとわずかだ。それでも取り組むのは、「猫や犬などのペットは人の行動変容を促す力があるから」(淺沼社長)だ。 

食品や繊維のロスにとどまらずに、イヌやネコなどのペットを切り口に新しい課題の解決にも力をいれていく。 

ピュアボックス「猫は地球を救えるか?『はぎれネズミ大作戦』」は、オルタナとCSR経営者フォーラムが共催する「サステナブル・セレクショ2022」の三つ星に選ばれました。「サステナブル・セレクション2023」のエントリーは6月23日までです。ぜひご応募ください。

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萩原 哲郎(オルタナ編集部)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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