記事のポイント
- 世界最大の広告祭「カンヌライオンズ」から最新トレンドを読み解く
- 受賞作品の創造性はSDGsに関するコミュニケーション手法にも十分役立つ
- SNSをリハビリに生かした作品と地球を上場させた作品を解説する
世界最大規模の広告・コミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(通称:カンヌライオンズ)」の受賞作品を考察することで、これからのコミュニケーションの傾向やトレンドが見えてくる。今回は受賞作品の中から、今後のSDGsコミュニケーションに求められる手法、そして広告業界のサステナビリティについて考えていく。(伊藤 恵・サステナビリティ・プランナー)
■作品の排出量やインパクトの開示推奨
近年、審査員の国籍の多様性やジェンダーバランスを配慮するなど、カンヌライオンズ自体もSDGsを意識する傾向になってきていた。今年は応募条件が変更され、作品に関連するCO2排出量やサステナビリティ関連のインパクトについて情報提出が推奨されるようになった。だが、これはあくまでも「推奨」であり、現段階では審査基準には含まれていない。
さまざまな企業のサステナビリティ活動を推進・サポートしている広告業界だが、実は広告業界自体の取り組みは他業界と比べても遅れを取っている。
たとえばCM撮影で1回使用するだけで廃棄されるセットや、イベントが終わると処分する装飾。それらがどれくらいのCO2排出量で、ひとつのキャンペーンでどれくらい環境負荷が掛かっているかを数値化できているところは、現状ではごくわずかだ。
排出量の業界統一基準や削減する仕組みなども、世界の大手代理店が取り組みを本格化し始めたばかりである。今回のように世界的な広告賞での取り組みが、どのような影響を業界に与えていくのか今後に注目していきたい。
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