記事のポイント
- フードロス削減をビジョンに掲げるBコープ企業「クラダシ」が株式上場した
- Bコープ認証を受けた企業が上場するのは日本国内では初めてだ
- 経営トップの2人に、公益性と株主利益の両立について聞いた
クラダシ(東京・品川)は「日本で最もフードロスを削減する会社」をビジョンに掲げる。2022年6月にBコープ認証を受け、23年6月30日に東京証券取引所グロース市場へIPO(新規株式公開)を果たした。国内でBコープ企業が上場したのは初だ。Bコープの理念である「公益性」と、上場企業の宿命である「株主利益の追求」は両立するのか。関藤竜也社長と河村晃平CEOは「可能」と言い切る。(聞き手・オルタナ副編集長・長濱慎)

関藤竜也(せきとう・たつや)
クラダシ代表取締役社長。1971年生まれ。1995年総合商社入社。中国駐在を経て独立。その後、戦略的コンサルティング会社副社長を経て、2014年7月にフードロス問題を解決するためクラダシを設立。現在に至る。
河村晃平(かわむら・こうへい)
クラダシ取締役執行役員CEO。ネットメディア運営会社のLIVESENSE共同創業後、豊田通商で自動車ディーラー経営に従事。ネット総合旅行代理店Loco Partnersでの事業開発を経て、2019年クラダシ入社。22年7月から現職。
(目次)
■上場の目的は「社会的信用性」
■3年で売上高が5.6億から30億に
■公益性と株主利益は両立できる
■海外のインパクト投資家も注目
■上場の目的は「社会的信用性」
――6月30日に、東京証券取引所グロース市場にIPOを果たしました。改めて、上場の狙いを教えてください。
関藤: 社会的信用性を得ることです。上場することでコンプライアンス面やガバナンス面での信用度が高まります。これが新たな取引先の開拓につながり、既存のパートナー企業ともこれまで以上に規模の大きな取引ができると期待しています。
大手食品メーカーなどのパートナー企業は、上場企業も少なくありません。クラダシも上場することで、同じ土俵に上がるという狙いもあります。その他のメリットとして資金調達がスムーズなることや、企業の認知度向上も期待できるでしょう。
いずれにせよ、フードロスという社会課題の解決にビジネスとして取り組むには、上場は避けて通れない道でした。これでようやく「一人前の企業」というスタートラインに立てたと感じています。
河村: 上場は採用にもプラスに働きます。Z世代(1990年代中盤〜2010年代序盤生まれ)と呼ばれる若者世代は、企業の信頼性や社会貢献度を重視する傾向にあります。上場して信用度が高まることは、こうした意識の高い層が就職先を選ぶポイントの一つになると思います。
クラダシはこれまでキャリア採用や中途採用をメインに行ってきましたが、2024年度からは新卒採用にも本格的に踏み切る予定です。多様な人材が集まることで社内のダイバーシティが進み、新たなチャレンジや成長につながるのではないかと期待しています。

■3年で売上高が5.6億から30億に
――2024年にクラダシは創業10年を迎えます。上場に至るまでの活動や到達点を、どう評価していますか。