記事のポイント
- オリエントコーポレーションが社会課題起点のビジネス創出に注力する
- サステナビリティ委員会に3つの部会があり、ビジネス創出の原動力に
- EVスタートアップや空き家問題解決ローンなど新しい取り組みが続々と
オリエントコーポレーションが、社会課題の解決を起点にしたビジネス創出「SDGsアウトサイド・イン」を加速している。その原動力は、サステナビリティ委員会の下部組織である「3つの部会」だ。毎月、部長職以上のメンバーが集まり、EVスタートアップへの出資や空き家問題解決ローンなど、新たな取り組みを続々と生み出した。(オルタナ編集部・北村佳代子)
「アウトサイド・イン」とは、SDGsの公式文書にも記載されている用語で、社会課題の解決を起点にしたビジネスの創出を意味する。
オリコは、2022年4月のサステナビリティ委員会の新設を機に、アウトサイド・インのアプローチで新規事業を次々と創出した。
オリコの田村浩利執行役員は「社会課題を解決したいという熱い思いは、その人が組織にいる限り続く。しかし、それを組織的な動きにするには、しかけが必要だった」と説明する。
「サステナ委員会の発足、部会での毎月の議論、ブレストの定例化などの仕組みがうまく機能し、社会課題を起点にした新事業の創出につながった」(同執行役員)
■「サステナビリティの自分ごと化」が課題だった
オリコのサステナビリティへの取り組みは、東日本大震災を契機にCSR推進室が立ち上がったのがスタートだ。
サステナビリティ推進室の石井かおり室長は「2018年に今のサステナビリティ推進室に改称された後も、主な活動内容はボランティアなどによる社会貢献が中心だった」と振り返る。
「2021年度までの中期経営方針で、『サステナビリティの取組み強化』を基本戦略の一つに掲げた。
しかし、社員にとっては自分の仕事が、社会のサステナビリティとどう結びついているのか十分理解が進まなかった。『事業を通じた社会課題の解決』に社員の意識を向けることが、課題として残った」(石井室長)。
そこでオリコは2022年度からの中期経営計画で、サステナビリティを単一戦略としてではなく、会社の骨組みである経営理念に次ぐ高い概念に据えた。
「事業を通じて収益を稼ぎながら社会課題を解決し、企業価値の向上にもつなげる。これが当社のサステナビリティ経営だということを、経営トップからも強く発信した。サステナ委員長が社長なので、推進力も強い」(石井室長)という。
■「環境・地域」「顧客」「人財」の3部会を軸に
■「オリコ・サステナビリティ・ファンド」始まる
■軽貨物EV車で顧客の脱炭素化を支援
■空き家を対象に「アキカツローン」を商品化
■変革の根底に危機感、リスキリングにも注力