記事のポイント
- 日本政府は技能実習制度から「育成就労制度」への移行を進めている
- しかし、新たな制度でも、手数料の負担や転籍制限の問題が残る
- 受け入れ企業には、労働環境の整備や人権尊重への責任が強く問われる
日本政府は外国人技能実習制度から「育成就労制度」への移行を進めているが、労働環境の実質的改善につながるのかは依然不透明だ。従来の技能実習制度では、転籍の制限や高額な手数料、違法な時間外労働などが問題視されてきた。しかし、新しい制度のもとで外国人労働者の労働環境が改善されるのか、疑問の声も挙がっている。(オルタナ輪番編集長=吉田 広子、編集部=萩原 哲郎)
■30年度までに「育成就労制度」に移行へ
技能実習制度は、もともと「開発途上国への技術移転」が目的の制度だった。しかし、実態は、安価な労働力の受け入れ制度として運用されている。違法な時間外労働や最低賃金以下の給与などの違法労働が常態化し、国内外から批判されてきた。
法務省の有識者会議は2023年に最終報告書を公表し、人材育成を目的とした新たな制度を創設するよう提言した。これを受けて日本政府は2024年2月、技能実習制度を廃止し、「育成就労制度」を創設する方針を決定した。
2027年4月に関連法を施行し、移行期間を経て、2030年までに育成就労制度への完全移行が予定されている。政府は制度設計のため、パブリックコメントを25年5月27日まで受け付けている。
(この続きは)
■「借金」が技能実習生を苦しめる
■ 育成就労制度でも残る転籍制限
■ 企業の受け入れ姿勢も問われる