日立がサステナ戦略にPLEDGESという名前を付けた理由とは

記事のポイント


  1. 日立製作所は、新サステナ戦略「PLEDGES(プレッジズ)」を発表した
  2. 同戦略は、脱炭素や多様性など7本柱から構成されている
  3. 同社はサステナ経営を推進するが、名称付きのサステナ戦略は初めて

日立製作所はこのほど、新たなサステナビリティ戦略「PLEDGES(プレッジズ)」を発表した。ダイバーシティや脱炭素、サーキュラーエコノミーなど7本柱からなる成長戦略だ。なぜ日立はサステナ戦略に名前を付けたのか。それは、ユニリーバの「サステナブル・リビング・プラン」や三菱ケミカルホールディングスの「KAITEKI」と同様、戦略に名前を付けることで、ブランド化や求心力を高めたい意図が見て取れる。(オルタナ輪番編集長=池田 真隆)

日立製作所が打ち出した「PLEDGES(プレッジズ)」は、同社の2027年までの経営計画「Inspire 2027」に対応したサステナ戦略だ。

同計画では、2025年度から2027年度の売上高の年平均成長率を7~9%とした。これは前中計で掲げた成長率と同規模だ。なお、2024年度の売上高は9兆7833億円(前年度比14%増)だった。

利益指標のAdjusted EBITA率は13~15%、ROIC(投下資本利益率)は12~13%を目指すとした。今回発表したサステナ戦略は、この新中計に対応したものだ。

同戦略は7本柱から構成される。柱となる各戦略は、Planet(プラネット)やLeadership(リーダーシップ)、Diverse perspectives(ダイバース パースペクティブズ)などと名付けた。それぞれの戦略の頭文字を取って、PLEDGESとした。

「プラネット」は、脱炭素やサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブがテーマで、目指す姿として「GX(グリーントランスフォーメーション)をグローバルでリード」とした。

GXは、日本政府が推進する脱炭素戦略の名称だ。政府は、経済成長と脱炭素の両立に向けて、今後10年間で官民合わせて、150兆円のGX投資を見込む。日立製作所はこの150兆円市場の開拓を狙う。

プラネットの2027年度の主要KPIとして、事業所の温室効果ガス(GHG)排出量を2019年度比で75%削減することを定めた。

その他の戦略では、「エンゲージメント」ではサステナブル調達を、「ダイバースパースペクティブズ」ではインクルーシブな職場環境をテーマに掲げ、KPIに加えて推進するための施策を明記した。

日立製作所が打ち出した新サステナ戦略「PLEDGES」

PLEDGESの策定に際しては、欧州でのサステナ情報開示規制など国際的な基準を参照し、重要なサステナビリティ課題を特定した。その後、各事業のリスクや機会、社会インパクトなどを分析し、重要なサステナビリティ課題を選別した。

国内外の投資家やNGOなどのステークホルダーとの議論や経営幹部の会議を経て、戦略に落とし込んだ。

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「全社一丸で推進するには名前を付けることが有効」
社会へ価値提供、「Sustainability for all」の精神で

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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