SDGs採択から10年、順調に推移するターゲットは2割未満に

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記事のポイント


  1. 国連がSDGsを採択し、2025年9月25日で10年を迎えた
  2. SDGsで定めた17目標169ターゲットのうち、順調に推移するのは2割未満に
  3. 2024年は紛争による死者数が急増し、犠牲者の多くが子どもと女性だった

国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択してから、2025年9月25日で10年を迎えた。国連が7月に公表した最新の報告書では、SDGsで定めた17目標169ターゲットのうち、順調に推移するのはわずか2割未満だと指摘した。2024年はガザ紛争などによる死者数が5万人に及んだ。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

SDGsの169ターゲットのうち、「軌道に乗っている」ものは18%だった

国連は2015年9月25日、米ニューヨークの国連本部で開いた「国連持続可能な開発サミット」で、SDGsを採択した。国連に加盟する全193カ国が全会一致で採択した。

SDGsは貧困や飢餓、環境保全など国際社会が直面する課題の解決を目指す国際目標だ。それぞれの課題に対応した17の目標を掲げ、各目標の達成基準として169のターゲットを定めた。目標年は2030年に設定した。

SDGsの目標年まで5年だが、達成することは非常に厳しい状況にある。国連が7月に公表した報告書では、SDGsで定めた169ターゲットのうち、前進したものは35%に過ぎないと厳しい評価を下した。半数近くのターゲットの進捗はあまりに遅く、18%は後退しているとした。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「私たちは、開発における緊急事態に直面している」と指摘した。

児童労働に従事する子ども1億人超に

日本にある国連広報センターは9月24日、SDGsの進捗をインフォグラフィックスで分かりやすく示した。国連が各目標の進み具合を、SDGsを採択した2015年から比べ、現状の課題をスライド1枚で示した。

目標2(飢餓をゼロに)では、世界の飢餓は減っているが、依然として、2015年の水準を上回っているという。2024年では世界の12人に1人が飢餓に直面している。

飢餓は減っているが、いまだ2015年の水準を上回っている

教育に関する目標4(質の高い教育をみんなに)に関しては、2015年以降、1億900万人以上の子どもが新たに学校に通ったが、2億7200万人(2023年)が通えずにいる。

学校に通えない子どもは約3億人に

目標8(働きがいも経済成長も)については、2000年と比べて児童労働に従事する子どもの数は1億人以上減ったが、いまだ1億3800万人(2024年)が従事する。

気候変動(目標13)も生物多様性(目標15)もどちらも課題は深刻化している。気候変動については、2024年が観測史上最も暑い年になり、生態系は驚異的なスピードで減少を続ける。

紛争による犠牲者が急増し、2024年は5万人が亡くなった

紛争による死者数も増えている。2024年は5万人近くが紛争で亡くなった。その多くが子どもと女性だった。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #SDGs

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