「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートを

記事のポイント


  1. 「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートすることが重要だ
  2. 災害発生直後に連続して別の災害が起こるリスクが高まっている
  3. 地域の備えを総合的に見直すことが「住み続けられるまちづくり」に必須だ

「住み続けられるまちづくり」に欠かせないのが、防災意識のアップデートだ。災害発生直後に連続して別の災害が起こるリスクが高まっていることが背景にある。「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートすることが重要だ。(オルタナ総研所長=町井則雄)

2024年元旦に発生した能登半島地震は「家族が地元に帰って集まるこの時期に」とタイミング的にもショックの大きい災害だった。その復旧すらままならない中、夏には同地域を豪雨が襲った。被災地域を異なる災害が立て続けに襲うという悲劇に大きな衝撃を受けたが、その豪雨から9月で1年が経つ。

記録的な猛暑となった今夏、石川はもちろん、同じ日本海側の秋田や青森、そして鹿児島や熊本などの九州地方でも記録的な大雨による被害を受け、政府は12県に激甚災害指定をする方針だ。

9月に入っても都内でゲリラ大雨により広範なエリアで冠水が発生、電車が停電で停まるなど、高度インフラを持つ都市と豪雨の相性の悪さを象徴する災害が続いている。

国土交通省の水害統計調査2023によると、2011〜2020年の10年間で全国の市町村の約98%が水害経験ありと回答しており、日本全体が水害と無縁ではないということがわかる。 

同じように世界でも水害は頻発している。ロイターがまとめた世界48ヶ国で2024年に起きた水害の写真を見れば、水害のすさまじさ、恐ろしさと共に、その被害の深刻さをあらためて認識させられる。

気候変動がもたらす災害はもちろん水害だけではない。干ばつや熱波、乾燥に伴う森林火災など、あらゆる災害が起こっている状況にわたしたちは日々直面している。

日本はこれまでも災害に対する備えに真摯に取り組んできた国の一つだ。しかし、高度経済成長期につくられたインフラが一気に老朽化し、さらに人口減少による財政縮小などによりインフラの更新ができず、災害に対するレジリエンスが脆弱になっている地域が増えてしまっている。

「マルチハザード」に備えよう
避難所の「暑さ対策」も欠かせない
「地域防災」は共助があってこそ

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町井 則雄(オルタナ総研所長)

株式会社シンカ 代表取締役社長/一般財団法人 22世紀に残すもの 理事長/ 株式会社オルタナ オルタナ総研所長/岩手町政策アドバイザー など 1993年日本財団に入会。「日本財団図書館」・「日本財団公益コミュニティサイト『CANPAN(カンパン)』」の企画・開発を行うと共に、企業のCSRの取り組みを可視化するデータベース「CANPAN CSRプラス」の企画・開発に携わる。「世界を変えるデザイン展」、「未来を変えるデザイン展」の企画・総合プロデューサー。日本財団を2016年9月に退職、企業の社会課題解決型ビジネス創出のサポートやCSR支援を行うため株式会社sinKA(シンカ)を立ち上げ、現在に至る。経産省 地域新成長産業創出促進事業審査委員、内閣府「新しい公共推進会議」情報開示・発信基盤に関するワーキング・グループ委員、G4マルチステークホルダー委員会委員、CSR検定委員会 委員等を歴任。著書(共著) 「CSR検定テキスト」 、「企業と震災(木楽舎刊)」 など。

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