記事のポイント
- 英非営利組織CDPは3社に1社が水ストレス地域から取水していると公表した
- 同団体が水関連の情報を開示した世界8500社の開示内容を調べた
- 水を重要課題と位置付ける企業は増えており、水リスクは急速に高まっている
英非営利組織CDPはこのほど、世界8500社が開示した水関連の情報を調べたところ、3社に1社(27%)が水ストレス地域から取水していると公表した。水を重要なサステナビリティ課題と特定する企業は増えているが、多くの企業が一次サプライヤーまでしか特定できていないことも分かった。国連は2030年に世界の水供給は40%不足すると推計しており、水への対応の遅れは競争力を低下させるリスクに直結する。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)
水関連リスクを自社の重要課題と位置付ける企業が増えてきた。CDPはこのほど、世界で8500社超が2024年に水関連の情報開示を行ったと公表した。昨年と比べると開示した社数は倍に増えた。
CDPは、開示した企業のうち、およそ3社に1社に当たる27%が水ストレス地域から取水していると公表した。
■水リスクの財務影響は約50兆円に
水関連リスクに対する企業の認識は急速に高まってきたが、水資源の評価は依然として過小だ。CDPの調査では、多くの企業が水リスクを経営判断に十分に組み込めていない実態も浮き彫りとなった。
CDPによると、企業が報告した水関連リスクによる潜在的な財務影響額は3390億米ドル(約50兆円)に及ぶ。単なる事業停止や供給制約を超えて、長期的な事業戦略や成長見通しにも直結する重大な要因の一つだ。
■30年に世界の水供給は40%不足する
■7割超が一次サプライヤーまでしか追跡せず
■約8兆円の水投資で最大で6倍のリターンも
■水関連のビジネス機会は約200兆円規模に
■水はコモディティではなく、成長の源泉に