オルタナ総研統合報告書レビュー(49):栗本鐵工所

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記事のポイント


  1. 栗本鐵工所のパーパスは「三方よし」に未来を加えた「四方よし」である
  2. 背景には、「衛生的できれいな水を届けたい」という創業者の使命感がある
  3. パーパス実現に最も大切なのが「社員」であり、変化を恐れず挑戦できる風土の醸成を目指す

栗本鐵工所「統合報告書2025」は、2030年にありたい姿「四方よし」に向け、事業を通じて目指す戦略・価値創造ストーリーの充実化が図られています。より良い未来像へ向けたフィッシュボーンチャートや社会課題を起点とした事業へのアプローチ、役員の「マイ パーパス(自社の存在意義)」を具体化し、次の100年に貢献する姿や、社会とともに成長する同グループの「志」を解説しています。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

栗本鐵工所「統合報告書2025」

栗本鐵工所の統合報告書の表紙には、「利益は大事。しかし、当社のパーパスは利益ではない。」と記されています。

その背景には、「世の中の人々にあまねく衛生的できれいな水を届けたい」 という創業者・栗本勇之助の志があります。

「すべての人が、365日24時間いつでも、安全で安心できる水を享受できる社会を実現したい」という「社会のため」「人のため」に価値を創り出すという強い使命感です。

菊本一高代表取締役社長は、トップメッセージ「水もインフラもあまねく未来につなげる」

の中で、同社のパーパス(存在意義)として、近江商人の経営哲学である「三方よし」(売り手よし・買い手よし・世間よし)に未来への決意を込め、「未来もよし」を加えた「四方よし」を掲げています。

また同社長は、パーパス「四方よし」実現のプロセスを次のように表現しています。

1.サーキュラーエコノミーとサステナブルなESG経営を両立する

2.「価値創造・循環モデル」の構築を通して、社会インフラと産業インフラの分野で2030年にありたい姿、「将来にわたって社会貢献できる企業グループ」を目指す

3.その根底にあるのが「四方よし」の精神である

そしてパーパス実現に最も大切なのが「社員」だと強調し、その要旨は次の4点です。

1.当社グループが目指すのは、社員一人ひとりが生き生きと働ける「心理的安全性の高い職場」の実現である。

2.変化を恐れず挑戦できる風土の醸成と持てる力を発揮できる職場環境の構築を進めている。

3.多様な人材が能力を最大限に発揮し、協働できる環境は創造性やイノベーションの源泉と考え、人材戦略の中核には「多様性の尊重」を掲げている。

4.女性の活躍推進は重点テーマで、職域の拡大、意識改革、育成機会の充実、柔軟な働き方の支援など制度と風土の両面から改革を進めている。

更に同社は、資本コストを意識した経営を徹底しています。ROE8%以上、PBR(株価純資産倍率)1倍超えを図り、事業領域ごとの重点施策やビジネスモデルの改革を進め、収益を最大化し、企業価値向上に邁進すると述べています。

次の統合報告書では、「資本コスト経営」の進捗状況について、課題も含めて開示されてはいかがでしょうか。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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