LINEヤフー: デジタルリテラシーを高め格差の解消へ

LINEヤフーは2026年2月、CSRの新方針を策定し、若年層のデジタルリテラシー支援を重点領域の1つに位置付けた。SNSや生成AIの利用が拡大し、誹謗中傷や倫理的な課題が顕在化する中、同社はどのように解決を目指すのか。同社の西田修一・執行役員サステナビリティ推進CBUリードに聞いた。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)

西田修一・LINEヤフー執行役員サステナビリティ推進CBUリード
西田修一・LINEヤフー執行役員サステナビリティ推進CBUリード

西田修一(にしだ・しゅういち)
LINEヤフー執行役員サステナビリティ推進CBUリード
2004年ヤフーに入社。Yahoo! JAPANトップページの責任者を務め、ヤフー初となるYahoo! JAPANトップページの全面リニューアルを指揮。また、東日本大震災の復興支援と検索を掛け合わせたキャンペーン「Search for 3.11 検索は応援になる。」を立ち上げる。検索事業本部長を経て、2017年4月から現職。

ネガティブな影響を最小化する

――新CSR方針で若年層のデジタルリテラシー支援を掲げました。背景にある問題意識や狙いについて教えてください。

2025年10月から、経営陣とCSRの在り方について議論を重ねてきました。

LINEヤフーは、「『WOW』なライフプラットフォームを創り、日常に『!』を届ける。」を掲げています。ですから、CSRも日常生活に寄り添う「ライフプラットフォーム」として展開すべきだと考えました。

そこで、「テクノロジーをもっと身近に、もっと安心に」という新たな方針を掲げ、これまで取り組んできた防災・災害支援に加え、新たに「デジタルリテラシー支援」を重点領域として明示しました。

近年は、生成AIがさまざまなサービスに組み込まれ、利便性は大きく向上しています。一方で、便利な技術ほど、使い方を誤れば負の影響をもたらす可能性もあります。使いこなせる人とそうでない人との間で、機会や成果の差が広がる懸念もあります。

私たちは、できるだけ多くの人がデジタル技術の恩恵を享受できる社会を目指しています。同時に、光が強くなるほど濃くなる影、つまりネガティブな影響を最小化する責任があると考えています。

――そうしたデジタル格差は、どのように生まれるのでしょうか。

もちろん経済的な格差の影響はあると思います。ただし、あらゆる技術は時間とともにコストが下がっていきます。かつてテレビを持てるのは限られた世帯だけでしたが、今では当たり前のものになりました。

こうした状況の中で、重要になってくるのが「リテラシーの差」です。テクノロジーを使いこなせるかどうかの違いが、機会や成果の差だけでなく、トラブルや被害に巻き込まれるかどうかの差にもつながっていきます。

そのリテラシーは、学校教育の場では教師、家庭では保護者の理解度に影響されると思います。

■テクノロジーは「使い方」次第

デジタル技術の「使い方」の重要性を語る
デジタル技術の「使い方」の重要性を語る

――LINEヤフーは26年4月から、LINEみらい財団のリテラシー教育事業を継承されるそうですね。特に力を入れている分野はありますか。

これまで「LINEみらい財団」を通じて、小学生から高校生までの若年層を対象に、さまざまな取り組みを進めてきました。

コミュニケーションアプリ「LINE」は2011年にサービスを開始しました。サービスの普及初期には、若年層を中心にSNS上でのいじめなどの課題が指摘されました。そのため当初は、SNSの適切な使い方や、トラブルに巻き込まれた際の対処方法を伝える取り組みに力を入れてきました。

こうした活動を重視してきた背景には、事業者としての安全対策や監視体制の強化を進めると同時に、テクノロジー自体は善悪を持つものではなく、使い方次第で影響が大きく変わる「道具」であるという認識があります。使い手に悪意があれば、その道具は負の方向にも使われます。その道具の力が強いほど、負の影響も大きくなってしまいます。

だからこそ、使い手のリテラシーを高め、自分自身を守るための知識や判断力を身に付けてもらうことが重要だと考えています。

特に、デジタルの世界では、そうした行動が記録として残り続ける可能性があります。一度の投稿や発信が、被害者だけでなく、場合によっては行為をした本人にとっても、長く影響を及ぼしかねません。

現在では、テクノロジーが詐欺に悪用されたり、誹謗中傷を拡散・増幅する手段として使われたりするケースも見られます。こうした状況を踏まえると、この問題は子どもに限ったものではなく、大人も含めて社会全体で取り組むべき課題だと認識しています。

(この続きは)
■欧州の一部の国や豪ではSNSに年齢制限設ける
AI活用を義務化、リテラシーの標準化を
■「問いの立て方」で成果が変わる
投入コストの約1.9倍の社会的価値を創出
■「信頼」や「社会とのつながり」も見えない価値

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yoshida

吉田 広子(オルタナ輪番編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。2025年4月から現職。執筆記事一覧

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キーワード: #サステナビリティ

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