記事のポイント
- マツダのニュージーランド現地法人に対して「グリーンウォッシュ」批判が起きた
- 対象になったのは、「クルマ1台の販売で5本の樹を植える」キャンペーンだ
- 植林プログラムは評価されつつも、マーケティングの主張が「誤解を招く」という
マツダのニュージーランド現地法人は2026年3月上旬、そのキャンペーンが「グリーンウォッシュ」であるとの指摘を受けた。「クルマ1台の購入で5本の樹を植える」といううたい文句が「誤解を招く」として、現地NGOが苦情を申し立てた。何が問題だったのか、日本企業への教訓は何か。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

マツダの100%現地法人である「マツダ・ニュージーランド」のキャンペーンを問題視したのは、弁護士らで構成する現地NGOの「ロイヤーズ・フォー・クライメート・アクション」だ。同NGOは3月9日、同国の広告基準局(ASA)に対し、キャンペーンは誤解を招く「典型的なグリーンウォッシュ」だとして苦情を申し立てた。
マツダは、ニュージーランドで、植林プログラムに資金を提供している。新車が1台販売されるごとに5本の木を植樹する。キャンペーンでは、「各車両の5年間の保証期間中、5本の木はCO2排出による環境への影響を軽減するだけでなく、植えられた地域の生態系にも大きく貢献する」と表現していた。
■「植林によるCO2吸収は、わずか0.1%未満」

(画像提供)Lawyers for Climate Action NZ
ロイヤーズ・フォー・クライメート・アクションは、植林プログラムの実施は公益にかなうが、マーケティング上の誇張が問題だと指摘する。同NGOは、「5本の木では自動車が排出するCO2をほとんど相殺できない」として、専門家による試算の詳細を示した。
それによると、マツダの主要なガソリン車「CX-5」の場合、5年間のガソリン燃焼で排出するCO2は約12.7トン、ライフサイクル全体では約23トンに上るが、一方で、この期間に5本のニュージーランド在来種の木が吸収するCO2は約0.0015トンにとどまる。
5本の木の植林で相殺できるのは、製造から購入後5年間の使用に伴う排出量の「わずか0.1%未満」との計算だ。5年間で12.7トンのCO2を吸収するのであれば、必要となる木の本数は4.1万本になるという。
同NGOは、「顧客が気候変動に抱いている不安感を利用し、顧客が気候変動の一因となる製品を購入することに罪悪感を抱かないよう、自社の植林プログラムの実際の効果を著しく誇張している」と指摘する。
そして、「これは、十分な情報に基づいて選択しようとする消費者に対しても、より正確な環境主張を行っている他社に対しても、無責任かつ不公平な行為だ」と断じ、「マーケティング上の主張は、植林プログラムが実際に達成できる成果を正確に反映しなければならない」と指摘した。
■マツダは迅速にキャンペーンを取り下げた
■「日本で問題視されていなくても世界ではNG」の認識を
■目が届きにくいところにこそリスクが潜む
■世界標準でサステナ経営のアップデートを

