記事のポイント
- 官民でグローバルサウス向けの「インパクト投資」を強化する動きが加速へ
- インパクト投資は、世界で広がり、日本の市場規模は17兆円に及ぶ
- インパクト投資に行政が参画することでリスク分散にもなる
官民共創でグローバルサウス向けの「インパクト投資」を強化する動きが起きている。社会課題解決に資する投資である、「インパクト投資」は、日本でも2016年は300億円強の市場規模だったが、2024年には17兆円と急速に拡大してきた。グローバルサウス向けのインパクト投資に行政や開発機関、財団などが関与することで、民間企業から資金を呼び込む「呼び水」にもなる。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

日本でインパクト投資が高まった背景には、インパクトスタートアップの増加や、上場企業経営者による財団設立など、民間主導の潮流があった。
グローバルサウスでも起業家や財団による社会課題解決の動きが広がっている。実際、世界のインパクト投資市場は250兆円規模に拡大し、ODAの10倍以上に達する。
こうした中、日本のODAも変化している。JICA法が2025年に改正され、途上国向け投資の保証や現地企業の債券購入が可能となった。従来の資金供与にとどまらず、民間投資を呼び込む「触媒」としての役割を担う方向へと進化している。
■官民共創で「インパクト投資」盛り上げる
さらに、官民連携の機運を高める動きも起きた。2026年3月23日には、グローバルサウスをテーマとしたインパクト投資フォーラムが開かれ、政府、金融機関、企業、スタートアップ、財団など多様な主体が参加した。
議論では、資金ギャップの解消に向けて公的資金を呼び水に民間資金を動員する重要性や、「援助」から「投資・ビジネス」への転換の必要性を共有した。
アフリカでのエコシステム構築支援など、日本発の取り組みも進展する。行政、金融機関、企業が協働するプラットフォームの整備によって、現地の金融機関が自己資金で投資を始めるなど、早くも「触媒効果」が生まれている。
インパクト投資は高いリスクを伴うが、官民が連携することでリスク分散が可能だ。事業の実現性も大きく高まる。
今後はODAが呼び水となり、民間投資とスタートアップの力を引き出す新たな国際協力モデルが広がる可能性が高い。グローバルサウスと日本双方に成長の好循環をもたらす動きとして注目だ。
認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆・代表理事は、「グローバルサウスには、新たな挑戦に寛容的で、経済も成長軌道にある。JICA法の改正で、民間資金の途上国への投資や事業進出をサポートする流れが起きた。官民共創がまったく違ったステージに進化していくだろう」と話した。
鵜尾氏は官民共創のカギは「共感と信頼」だと話した。「共創は共感と積み重ねた信頼で生まれる。そうした共感と信頼を組織も業界も超えて生み出すチャレンジを続けていきたい」と強調した。



