キリン、スコープ3の削減に伴う財務インパクトを20億円と見込む

記事のポイント


  1. キリンホールディングスはSBTiによる「SBTネットゼロ認定」を再取得した
  2. 農業・林業・土地利用に関するGHG削減目標「FLAG目標」も新設した
  3. スコープ3の削減について、30年時点で約20億円の財務インパクトを見込む

キリンホールディングスは4月30日、SBTイニシアチブ(SBTi)による「SBTネットゼロ認定」を再取得したと発表した。農業・林業・土地利用に関する温室効果ガス(GHG)削減目標「FLAG目標」も新設した。これに伴い、サプライチェーン全体で進めるスコープ3の削減施策について、2030年時点で約20億円の財務インパクトを見込む。(オルタナ輪番編集長=池田真隆) 

キリンHDは2022年、世界の食品企業として初めてSBTネットゼロ認定を取得した

同社は2020年に「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、サプライチェーン全体でのGHG排出量実質ゼロを掲げた。今回のSBTネットゼロ認定の再取得は、事業ポートフォリオの変化やSBTiガイドラインの改訂を踏まえて対応した。 

新たに設定したFLAG目標では、農作物生産活動由来のGHG排出量を2030年までに2019年比で33%削減する方針を示した。対象はスコープ3だけでなく、自社圃場などに由来するスコープ1も含む。 

キリングループでは、酒類や飲料、ヘルスサイエンス事業において農産物を主要原料として使用している。

近年、農業分野におけるGHG排出への関心が高まる中、化学肥料の大量使用や耕起による土壌炭素放出などが課題視されている。同社は、農産物の持続可能な調達を実現するため、農業由来排出の削減を重要テーマに位置付けた。 

具体的な施策としては、長野県の「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」で、剪定枝(せんていし)を活用したバイオ炭による炭素貯留効果の研究を進める。農研機構と共同で2024年から実証を開始し、不耕起栽培やカバークロップ、化学肥料の適正管理なども導入した。 

スコープ3対策では、アルミ缶、PETボトル、麦芽などサプライチェーン上流での排出削減をサプライヤーと連携して推進する。これらの施策には追加投資やコスト増加が伴う。そのため、同社はGHG削減効果と財務インパクトを評価した。

施策ごとの費用対効果をシミュレーションした結果、2030年時点で約20億円の財務インパクトを見込む。 

さらに、2024年4月から開始した「キリンサプライチェーン環境プログラム」を通じて、CSV委員会やグループ環境会議で進捗を管理。経営層の関与を強化しながら、新規施策の抽出から実行判断までを迅速化する体制を整備した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #SBT#脱炭素

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