記事のポイント
- 企業の脱炭素に関する取り組みを評価するモノサシが大きく変わりそうだ
- スコープ2は多くの企業が非化石証書を購入して脱炭素化に取り組んできた
- 新ルールでは証書を購入するだけでは排出量の削減にならない可能性がある
企業の脱炭素に関する取り組みを評価するモノサシが大きく変わりそうだ。企業が他社から購入した電力や熱などのエネルギー使用に伴う間接的な温室効果ガス(GHG)排出量は「スコープ2」と呼ばれる領域だが、多くの企業が非化石証書などを購入して脱炭素化に取り組んできた。GHG算定の国際ルールの大規模改訂が進んでおり、新ルールでは、単に非化石証書を購入するだけでは、スコープ2排出量の削減として十分に評価されなくなる可能性がある。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)
■「いつ、どこで発電した電力か」を問う
現在のGHGプロトコルでは、スコープ2について、実際の電力使用場所に基づく「ロケーション基準」と、電力契約や証書などを反映する「マーケット基準」の2つを併記する。企業はマーケット基準で再エネ電力や非化石証書などを調達することで、スコープ2排出量を大幅に削減できていた。
しかし、現在の仕組みでは、年間の電力消費量と再エネ証書の量を合わせれば、時間帯が異なっていても削減効果を反映できる。比較的広い地域から証書を調達できるため、実際に企業が電力を使った時間・場所と、再エネ発電の時間・場所との間に乖離も生じていた。
この問題を是正するため、GHGプロトコルは2025年10月にスコープ2の改訂案を公表した。改訂案では、「アワリーマッチング」と「デリバラビリティ(届けられる可能性)」を導入する案を示した。
アワリーマッチングとは、電気を使った「時間」と、再生可能エネルギーで発電した「時間」をできるだけそろえるという考え方だ。例えば企業が午後8時に電気を使った場合、その同じ時間帯に発電した再エネであることを求める。
これまでは、1年間で使った電気の量と同じだけの再エネの証書を買えば、昼間に発電した電気であっても夜の使用分としてまとめて扱うことができた。しかし今後は、昼に発電した電気を夜の使用分としてそのまま振り替えることが難しくなる。同じ量を買っていても同じようには評価されなくなる可能性があるのだ。
もう一つがデリバラビリティだ。発電所と需要家が電力系統上つながっていて、発電した電力が需要地点に届くことが可能な地域から証書の調達を求めることを指す。単に「同じ国だから」「同じ市場だから」という理由だけではなく、電力系統上のつながりを重視する考え方だ。
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