■ 人権侵害に関するデータをあえて公表
企業は一般的に人権侵害を報告したがらない傾向がある。それは、法の抵触を危惧することと、名声に傷がつくのを恐れてのことである。しかし、それらを踏まえた上で、内部告発を含む「苦情処理メカニズム」の人権侵害に関するデータを公表する企業が出てきている。
ザ・コカコーラ・カンパニー(本社アトランタ)では、「苦情処理メカニズム」を機能させるため「人権と職場の権利方針」についてトレーニングの実施や、コミュニケーション・教育を強化した。
従業員は、「倫理ライン」を含む多数のルートを通じて報復の心配なしに、違反についての報告をすることができ、すべての質問は、秘密裏に対処され、全ての懸念について会社が調査する。
2010年の苦情件数は118件だったが、2011年は、426件と増加した。
2011年の苦情報告の内訳は、1.報復と嫌がらせ含む差別 211件(全体の50%)、2.労働時間や賃金 114件(同27%)、3.職場の安全保証 43件(同11%)、4.職場の安全衛生 36件(同9%)、5.結社と団体交渉の自由 2件(同1%)、6.強制労働 3件(同1%)。
この件数の増加は、子会社であるコカコーラエンタープライズ社の北米事業の買収による約6万5000人の従業員の追加、そして「人権と職場の権利方針」に関して、コミュニケーション・教育の実施による意識の高まりによって、「苦情処理メカニズム」が機能するようになってきていると自社分析している。
■ 社外のステークホルダーにも「苦情処理メカニズム」を