この状況を踏まえて、バングラデシュ政府、欧州連合、国際労働機関(ILO)、米国政府、欧州アパレル企業、北米アパレル企業が行動を起こしている。
■バングラデシュ政府の対応
バングラデシュ政府は、このビル崩壊事故を受けて、ダッカにある16の衣料品工場、チッタゴンにある2つの衣料品工場を安全面で問題があるとして閉鎖を指示。また政府はバングラデシュ国内全工場(約5千工場)の検査を命じた。
2013年7月15日にバングラデシュ政府は、従業員の権利と職場の安全性の向上を強化する目的で「バングラデシュ労働法2006」の改正を可決。この法律は、労働者は工場所有者の許可を得ることなく労組を作ることが認められることを含むものであるとしている。
しかし、この改正について、「西側政府をなだめるためになされ、そのために早く可決されたので、重要な部分についての変更がなされていないものだ」との批判もある。
■欧州連合とILOの動き
欧州連合、国際労働機関(ILO)、とバングラデシュ政府は2013年7月8日、「共同声明:バングラデシュの既製服とニット産業における労働者の権利と、工場出荷時の安全性の継続的な改善のためのサステナビリティ・コンパクト」を発表した。
この「サステナビリティ・コンパクト」は、バングラデシュでの、労働者のための労働、安全衛生の条件を改善するだけでなく、既製服産業で企業が責任ある行動を促すことを目指していて、バングラデシュ労働法の改革を実施するなどILOの監視の下2014年6月までに実施項目について早急に改善を促し、定期的な会議の開催によって効果を確認していくという。
■米国政府の動向
オバマ大統領は2013年6月27日、工場崩壊をきっかけに、バングラデシュに対し米国の一般特恵関税制度を凍結したと発表。そしてさらに米国政府は2013年7月20日、バングラデシュのための行動計画を発表。
この行動計画は、バングラデシュの労働者の安全性の向上を目指し、検査官の研修を改善し、安全基準違反者に罰則を課す一方、労働、火災、建物に関する検査官の数を増やすことを求めている。米国政府は声明で、労働、火災、建物に関する安全基準に違反している縫製工場の輸出ライセンスをはく奪するなど、厳しい罰則を課すこともバングラデシュ政府に促している。