「他人事」を「自分事」化する力が組織を変える【戦略経営としてのCSR】

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大久保 和孝(新日本有限責任監査法人 CSR推進部長)

CSR への取り組みは、環境変化を「自分事化」すること。一見、自分たちの事業には直接的な関係がないことや中長期的な事象を、いち早く「自分事」としてとらえ、いかに今後の行動に反映させていけるかがCSR 活動の前提である。

このことは、コンプライアンスへの取り組みも同じだ。与えられた知識を社員一人ひとりが自分事としてとらえて行動できなければ効果がない。行動規範の研修を実施すると、多くの社員から、「常識的なことばかりで、自分はできているから関係ない」と、他人事にとらえる本心が透けて見える。真剣に一言一句漏らさず聞く受講生の方が少ないのではないか。

当たり前に見えることを他人事とせず「自分事化」できるか。例えば、「情報管理に関する研修」を受けて、「忘年会の予約時に社名を出すのをやめる」という行動に繋げられるか。職場仲間の集まる宴席ではつい仕事の話もしてしまう。お酒が入れば声も大きくなり、部屋から会話が漏れることがある。宴席の企業名が分かれば周囲の興味を引き、結果、情報が漏れる可能性も否定できない。情報を厳格に管理すべきことは当然知っていても、無自覚な行動により、情報を漏らしてしまうこともある。得た知識を、日常行動に結び付けられて初めて、その研修が成功したといえる。

CSRに必要な「リベラルアーツ的思考力」

CSRへの取り組みでは、より中長期的な環境変化をとらえ、それらを自分事化し企業活動の中に取り込んでいくことが要請される。そのためにも、日頃からあらゆる物事を自分事化する習慣を身に付ける必要がある。

このような、当初自分とは関係のないことに見える他人事を「自分事化」できる基本的な能力が「リベラルアーツ的思考力」であり、CSR 活動の前提として不可欠な能力となる。リベラルアーツ的思考力とは、古典との対話を通して「考えることを自ら学ぶ」ことであり、自分とは異なる価値観を受け入れ他者と協働していくための前提となる能力でもある。

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2014年6月4日(水)20:38

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