「プロジェクトアウト型」のダイアログを目指して【戦略経営としてのCSR】

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大久保 和孝(新日本有限責任監査法人CSR推進部長)

社会の価値観は、大きく変化し多様化した。今の時代、消費者自身、何が欲しいのかわからず商品選択そのものが難しい時代になっている。物質的豊かさが満たされ、商品が極端に高機能化された時代ゆえに、単純にマーケティング結果に基づいた商品を提供しても売上げに繋がるとも限らない。むしろ、消費者の要請に応じて臨機応変に商品を変化させ、試行錯誤を繰り返して消費者とともに作り上げていくことが求められ始めている。例えば、仙台に本社を置くアイリスオーヤマは、店舗に寄せられたユーザーの声を反映し、即座に商品改良をはかることで業績を大きく伸ばしている。

これまでも「プロダクトアウト(生産者視点)」から「マーケットイン」での取り組みの重要性について触れてきたが、もはや広告やマーケティングなど「マーケットイン」の視点だけでは社会の期待に応えきれなくなっている。むしろ、価値観が多様化した社会では、社会(消費者を含む)と共にプロジェクトを生み出していく「プロジェクトアウト」型が求められるようになった。言い換えれば、経営のあり方そのものが、ステークホルダーを巻き込み、共に課題を解決しながら取り組んでいくことを求められるようになっている。企業からの一方的な発信ではなく、双方向のコミュニケーションを通してステークホルダーを巻き込んでいく経営スタイルだ。

その際、ステークホルダーを巻き込んでいくカギは、ステークホルダーとの関係値をいかに構築できるかにある。関係値を作るためには、ステークホルダー自身に自分事として関心を持ってもらわなければならない。そのためには、ありふれたコンテンツを提示するのではなく、解決すべき課題を共有し解決策の検討を通して、未来に向けた取り組みに巻き込むことだ。一般的に、悩んでいる人がいると助けたくなるのが人の常だ。困難な課題や悩みに直面した時に自分だけで解決しようとするのではなく、ステークホルダーと一緒に解決策を模索していくことで、長期的・継続的な関係を築く。すなわち、悩みや課題そのものを共通の価値とすることでステークホルダーを巻き込む。

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2014年7月31日(木)13:17

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