効果的な統合レポート、5つのポイント【CSRコミュニケーションのこれから】

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加藤 公明(凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター)

一昨年あたりから、IR、CSR担当者の間でしばしば話題に上る統合レポート。IIRC(国際統合報告審議会)の統合報告フレームワークが今年12 月に発表されるとの見込みが伝えられるなか、各社の動きが活発になってきています。凸版印刷が昨年調べたところ、統合レポートを発行している主な国内企業は50社あまり。導入時期で見ると、2012年に統合レポートに移行した企業は20 社を上回り、2011年以前と比較して飛躍的に増加しましたが、2013年はさらに大きく増える可能性があります。

ツール制作に携わるものとしての感覚で言えば、2013年版統合レポートについての各企業からの問い合わせ、引き合いの多さは想像以上で、導入するかどうか、いよいよ本格的に検討するタイミングになってきたと言えます。凸版印刷では、発行各社のレポート分析や有識者へのヒアリングなどから、効果的な統合レポートづくりのポイントをまとめました。
1.企業の成長性を示すKPIの開示
自社の成長性、将来性、潜在能力などをわかりやすく伝えるための独自のKPI を開示。企業の成長ベクトルを具体的にかつ明確に示します。KPIは財務、非財務の区別なく、企業全体のパフォーマンスという観点でまとめられることが望ましいと考えます。(例:日立化成、KPIを丁寧に開示)
2.企業価値創造をストーリーで訴求
ビジネスモデル、事業戦略、経営計画などを軸に企業の価値創造・持続性のプロセスについてストーリーで伝えます。どのような資産、財産を、どのように事業活動に活かし、どのような結果、業績を生み出そうとしているのか、をわかりやすく伝えることが重要です。(例:昭和シェル石油、自社の価値と成長への道筋をわかりやすく説明)
3.情報のすみ分けと他ツール連動を
統合レポート単体ではなく、周辺ツールとの連動も視野に入れて考えます。統合レポートはコーポレートコミュニケーションの中核となりうるツールですが、一冊ですべてをカバーするのは無理があります。統合レポートの内容を補完するツールを、必要に応じて適宜用意するべきです。(例:TOTO、各ツールの役割を明確化)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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