クラウドファンディングの鍵は「買い物」「仲間」「ゲーム性」【CSRフロンティア】

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原田 勝広(明治学院大学教授)

前回、クラウドファンディング(CF)の紹介をしたが、やはり、NPO の人たちは相当注目している。会費や寄付が集まらない中で苦労はしているが、これまではお金のことにはあまり触れない、というのがNPO の文化だったような気がする。しかし、今回はそのイメージをひっくりかえされた。「ファンドレイジング・日本2014」と題して日本ファンドレイジング協会が2 月上旬に開いた一大イベントでの実感である。ここでもあちらでもお金の話が花盛りだった。

中でも人気だったのがCF。山本純子さん、株式会社アーツ・マーケティング代表の話が目からウロコだった。「CFといえば、インターネットで寄付を集める、というのが一般の理解だが、それはちょっと違う」との一言がまずインパクトがあった。じゃあ、CFって何?「密な信頼関係にあるわけでない人にお金を払ってもらうことを可能にする仕組み」。

第3次の生存率という概念が興味深かった。CFで資金を提供してもらう際、最も親密な友達を「第1次」とすると、友達のそのまた友達は「第2次」。ここまでは感情的なつながりがあるから資金を提供してくれるとして、これが「第3次」となると、もう赤の他人。判断は感情に左右されることなく合理的に行われる。ここで生き残らないと支援の輪が広がらない。だから、この第3次の生存率が極めて重要なのだという。

資金提供者を確保するには、CFの特徴を把握する必要がある。山本さんは、寄付型と購入型、つまり資金提供者に商品やサービスなど何らかのリワード(見返り)が併用されているタイプで説明してくれた。まず、目標額を集めているプロジェクトは、寄付ではなく見返りのある割合が高いものだという。その割合が高いほど成功度合いも高いという。つまり、お金を出すなら何か見返りがほしいという「買い物」感覚に近い心理的特徴があるのだ。なんだ、買い物と同じかとがっかりする人もいるかもしれないが、そうでもない。

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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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