真に持続可能な綿花栽培を目指す「ベター・コットン・イニシアティブ」――下田屋毅の欧州CSR最前線(43)

下田屋毅
サステイナビジョン代表取締役
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Takeshi Shimotaya for Alterna欧州を拠点に活動を広げている「ベター・コットン・イニシアティブ」(BCI)は、「持続可能なコットンの生産」を包括的に目指すNGOだ。農薬使用量の削減、収益性向上など具体的な目標を設定した戦略的アプローチが特徴で、アディダスやH&M、IKEA、ナイキといった多くのグローバル企業が参加している。北アメリカ地域メンバーシップエンゲージメントマネージャーのダレン・アブニー氏に今後の展望を聞いた。(聞き手・下田屋毅=在ロンドンCSRコンサルタント、翻訳・岩間莉絵=サステイナビジョン・リサーチアナリスト・インターン)

――世界中の多くの企業がBCIに興味を持ち始めています。しかし、残念ながら日本企業にはまだあまり知られていません。改めてBCIの活動について教えて頂けますか。

BCIは非営利法人として運営を行い、綿花生産者、綿花が育つ環境、綿花産業の未来のために、綿花生産をより良くするために存在しています。私たちは、より持続可能な方法で生産された綿花を「ベター・コットン」と定義しています。

BCIでは、ミッションを実現するため、農地から販売店まで、セクターを越えて人々と組織をつないでいます。2020年までに500万の農家と協働すること、全世界の綿花生産の30%を占めることを目指しています。

■ 繊維産業が抱える深刻な課題

――繊維産業が抱える問題と、どのように問題解決に取り組んでいるかについて教えていただけますか。

多くの人は繊維産業が抱える問題を、バングラデシュの縫製工場ビル倒壊や児童労働などだと考えています。

ところが、これらの問題と同じくらい深刻で、何百万人もの人々を巻き込むさらに大きな問題があります。

それは、水管理、土壌の枯渇、労働条件、スーパー雑草(農薬の効果がない雑草)、除草剤の使用量の急増、監査の質――といった問題です。これらの問題はサプライチェーンのさらに下層で起こるため、多くの主要ブランドのレーダーから外れています。

BCIはこうした問題に対処するために設立されました。BCIは6つの原則、それらの原則に呼応する44の基準、進捗状況を測定する8つの指針と共に、生産基準を作ることで問題に対処してきました。

BCIは農家、綿繰り職人、トレーダー、紡績業者、ミル、裁縫、製造業者、小売業者、ブランド、草の根組織を集め、「ベター・コットン」を主流にするためのグローバルコミュニティーです。

――アディダス、H&M、リーバイス、IKEA、ナイキ、マークス&スペンサーがBCIの創業当時からのメンバーですが、BCIはこれらの企業に対してどのようなことをしていますか。

綿花は世界で最も重要な天然繊維の一つです。地球上のほとんどすべての人に毎日使用され、2億5000万人の暮らしを支えています。私たちが綿花を責任持って扱う場合に限り、綿花は再生可能な資源となります。

BCIは、ベター・コットンの基準を提供することで、メンバー企業が従来型の綿花の使用から、より持続可能な使用に転換することを可能にしています。

BCIメンバー企業は、オンライン追跡システムや、ベター・コットンがもたらす恩恵について顧客を含むステークホルダーに伝えるためのマーケティング資料、サプライチェーンエンゲージメントの支援などにアクセスすることができます。

■ 農家の暮らしを守る

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下田屋毅
サステイナビジョン代表取締役
在ロンドン CSR コンサルタント。大手重工業会社に勤務、工場管理部で人事・総務・教育・安全衛生などに携わる。新規環境ビジネス事業の立上げを経験後、渡英。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。欧州と日本の CSR の懸け橋となるべくCSR コンサルティング会社「Sustainavision Ltd.」をロンドンに設立、代表取締役。ビジネス・ブレークスルー大学講師。

2015年1月19日(月)18:47

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