ESGリスクに対応した日本企業のガバナンス体制の整備

蔵元 左近
オリック東京法律事務所・外国法共同事業 弁護士
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ところで、我が国では、2015年、上場企業を中心とする各企業のガバナンスの強化を図るため、コーポレートガバナンス・コード(以下「GC」という)が施行された。

GCは、「プリンシプルベース・アプローチ」及び「コンプライ・オア・エクスプレイン」という先進的な手法を採用し、「企業の自由かつ多様な取組みや創意工夫の積み重ねにより、企業の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上を図ること」を目指している 。

特に、GC第2章の「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」は、(i) 上場会社は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーとの適切な協働 に努めるべきこと 、(ii) 取締役会は、サステナビリティー(持続可能性)を巡る課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識し、適確に対処するとともに、近時、こうした課題に対する要請・関心が大きく高まりつつあることを勘案し、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討すべきこと等を規定している。

前述のとおり、海外展開を本格化している日本企業は、ESGリスクへの対応策を準備する必要があるが、これは、守りのガバナンス(=コンプライアンス)に繋がる課題といえる。

すなわち、日本企業がESGリスクに適確に対処できない場合、ネガティブキャンペーンによる売上の低下、ストライキ、住民運動、住民訴訟等の発生により経済上・レピュテーション上の損害が発生する。

具体的には、国際NGO等からの批判によって企業イメージが低下したり、地域住民の反対運動が発生したりした場合、現地政府からの許認可取得や操業権維持に影響を受けることがあり得る。

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蔵元 左近
オリック東京法律事務所・外国法共同事業 弁護士
弁護士(日本・ニューヨーク州)。オリック東京法律事務所勤務。国内・海外での不動産ファイナンス、M&A、紛争案件等の企業法務全般を取り扱う。近時は、日本企業のグローバル・コンプライアンス体制の強化、CSR関連法務にも注力しており、英国現代奴隷法対応や、ソーシャルボンドを含む社会的投資のサポートも行っている。

2017年2月3日(金)19:09

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