日産とNEXCO中日本は、2月17日から3月16日までの期間限定で、電気自動車(EV)の普及に向けたプロジェクトを東名高速海老名SAで実施する。脱炭素社会の実現に向け、世界的にEVシフトが加速するが、日本はまだ変化に乏しい。2社は、EVオーナーに向けプレミアムな体験を提供することでEVの魅力をアピールし、普及を後押しする狙いがある。(オルタナ副編集長=山口勉)

中日本エクシスの三宅広通社長(撮影:山口勉)
日産はサステナブルの観点から、EVを世の中に広く普及させるための啓発活動 「グリーン・パス(GREEN PASS)」をNEXCO中日本と協同し、東名高速道路、海老名サービスエリア(SA)下り線内で実施する。
場内には、EVオーナーだけが利用できる「グリーン・ラウンジ」を設置する。日産車だけでなく、他社を含めた全てのEVオーナーが利用できる。EVならレンタカーでも利用可能だ。利用する際は、各メーカーが提供するアプリなどを提示する。

ラウンジ内には、再利用できるダンボールを使用した家具が並ぶ。「やすらぐほど充電できる椅子」は、肘掛けに非接触の充電器があり、置くだけでスマートフォンなどが充電できる。ラウンジには、接続したEVの「リーフ」から給電する。

利用者には、ミシュラン一つ星レストラン「sio」オーナーシェフ鳥羽周作氏が監修する「グリーン・ラウンジ・バーガー」も無料で提供する。
牛肉やトマト、りんご、根セロリなど、気候変動で生産量の減少が危惧される食材を使用しており、環境への意識を高めるきっかけにもしたい考えだ。

本プロジェクトでは、「グリーン・クーポン」も提供する。EVオーナーは各メーカーのEV アプリを提示すると、ドリンクが1杯無料になるなどの特典を体験できる。海老名SA下り線、厚木PA内外、足柄SA上下線の5施設にある飲食店21店舗で実施する。
脱炭素へ向けたステナビリティの観点から、EVの普及が進むなか、欧州や中国に比べ、日本は遅れをとっている。
現在、日本のEV普及率は0.9パーセント程度だ。同社は、今後より一層のEV普及を目指すには、他ブランドも含めた全てのEVオーナーが乗ること、EVを選ぶことの価値を高める必要があると判断した。
日産は2022年1月、今後5年間で約2兆円を投資して電動化を加速、また2030年度までに電気自動車15車種を市場に投入することを発表した。
日産の日本マーケティング本部、増田泰久副本部長は、「今回のイベントを通じて、すでにEVを所有している先駆的な方には、ぜひその魅力を発信し、普及活動を担ってほしい」と期待を込める。
NEXCO中日本は、国連グローバル・コンパクトが提唱する「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野からなる10原則に賛同し、2008年7月からグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)に参加している。
同社グループ中日本エクシスの三宅広通社長は「地球温暖化抑制は当社が取り組むサステナビリティへの主要な課題だ。EVの充電設備の拡充を図っているが、海老名SAは国内でも有数の規模だ。大きなPR効果が見込める」と意気込む。
増田本部長は更なるEVの普及に向け、「今後は、EVの軽自動車などラインナップを広げていく。所有するだけでなく、EVを使っていただく体験などができるプロモーションなども行なっていく」と展望を語った。