森で働くという選択「森林の仕事ガイダンス」

東京国際フォーラムで今年も「森林(もり)の仕事ガイダンス」が開催された。このガイダンスは全国森林組合連合会(全森連)が主催するものだ。森林や林業に関心のある人や実際に林業に就業したいと考えている人向けの説明・相談会で、誰でも無料で参加することができる。かつてこのプロジェクトに少し関わったことがあるので、様子を見てきた。

開場時間に30分ほど遅れて会場に着くと、入場待ちの人が列をなしていた。若者の姿が目立ち、なかなかの盛況である。「森林の仕事ガイダンス」は、あくまで就業相談をするもので、就職の斡旋をすることはない。

フロアには各都道府県や全森連の説明ブースが開設され、森林組合連合会や森林組合、民間林業事業体の雇用担当者が個別に林業という仕事の内容や林業に就業するまでの流れを説明する。先輩たちのトークショーもあり、チェーンソー、ヘルメット、ウェアなども展示されている。各ブースで説明を受けてさらに興味を持ったら、次は実際に体験会や林業事業体を見学するなどして林業就業へとつなげていく。今年は東京、大阪、名古屋の3カ所で開催され、東京会場には過去最高の35都道府県の相談ブースが並んだ。

このガイダンスは、平成13年(2001年)に開催された「森林・林業・担い手育成フェア」が先駆けだったと記憶している。林野庁が平成13年度から平成16年度までの4年間で3万人の林業への新規就業者の育成を目標として開始した取組みで、平成15年度からは「緑の雇用担い手育成対策事業」という名称になっている。

「緑の雇用」事業とは、簡単にいうと所定の条件に合致した新規林業就業者を受け入れた事業体とその就業者に対し国が一定の育成期間にお金や研修などの支援を提供する。年を重ねるごとに仕組みは改善されスマートになっているように思う。「緑の雇用」で採用された者は「緑の研修生」と呼ばれる。映画「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」は「緑の研修生」が主人公だったので一般の方への知名度も向上したのではないだろうか。

林業従事者数は減少から横ばいに

フリーランスのコピーライター。「緑の雇用担い手対策事業」の広報宣伝活動に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年よりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に2018年3月まで参画。森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行ってきた。TCJベーシッククライマー。

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キーワード: #林業

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