リクルート、ダイバーシティ視点でイノベーション加速

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リクルートグループは2016年から、多様な個性を活かすダイバーシティ推進プロジェクト「Be a DIVER!」(多様性の海にダイブしよう)を行っている。男性の育児や働き方改革、LGBTなどさまざまなテーマを取り上げ、社内外の有識者による講義と対話を行い、既存の事業や新規事業にダイバーシティの視点による新たなイノベーションを起こそうというものだ。3月に行われたイベントでは「貧困問題」を取り上げ、グループ社員らが事業を通じてどのように貢献できるかを話し合った。(環境ライター=箕輪弥生)

日本の貧困は見えないところで広がっている。内閣府の調査では子供の相対的貧困率は90年台から上昇傾向を示し、2012年には16.3%まで上昇した。これはOECDの調査によると先進国30カ国のうち4番目に高い。

「相対的貧困率」とは、所得の中央値の半分を下回っている人の割合だ。主に途上国で起きている食料・生活必需品を購入するためのお金がない「絶対的貧困」とは異なるが、そのダメージは同レベルとされる。

■「社会的孤立」が多い日本

右から茂木健一郎氏、NPO法人抱樸の奥田知志理事長、RFIの豊田茂取締役、リクルートホールディングスCSR推進部の菅原聡氏

「路上からは見えない貧困と困窮が広がっている」と話すのは、福岡県で30年にわたってホームレスの支援活動を行っているNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の奥田知志理事長だ。同NPOは、ホームレスに自立支援プログラムを提供し、9割以上が自立するという献身的なサポートを続けている。

奥田理事長は相対的貧困の背景には社会的孤立が広がっていることを指摘する。OECDの調査では、日本は加盟国中最も「社会的孤立」(社会の中で人とつきあいがない、または薄い)の割合が高い。奥田理事長は社会的に孤立することで貧困を自己認識できない人が増えていることを問題視している。

リクルートグループで貧困問題にかかわる事業に取り組むのがリクルートフォレントインシュア(RFI)だ。同社は親や親戚に保証人になってもらうことが難しい状況にいる人たちに対し、賃貸保証サービスを提供している。

家賃滞納者に対しての相談支援にも力を入れ、例えば、急に職を失ってしまった人などに対し、国の「生活困窮者自立支援制度」の相談窓口などにつないでいく。

同社の豊田茂取締役は「相対的貧困の場合、なかなかサインが見えてこない」と話す。「ある家賃滞納の男性に国の年金制度を紹介したことがあるが、1週間水だけで過ごしていた」と言う。同社は今後、NPO法人抱樸と連携し、継続的に貧困者の自立支援を行うスキームを作っていく。

■多様性をマイニングして新たな事業を

リクルートグループの社員らも積極的に議論した

リクルートグループでは従来から力を入れている女性活躍推進だけでなく、ダイバーシティの視点によって、自社の働き方改革や既存の事業に多様性をもたせてきた。全従業員を対象としたリモートワークの導入や、結婚情報誌「ゼクシィPremier」でLBGTカップルを取り上げるなど、その試みは幅広い。

ゲストとして登壇した脳科学者の茂木健一郎氏は、「多様性をマイニング(分析して傾向を見つける)ことが重要だ」と話す。茂木氏は貧困の中にも、豊かな資源が埋まっている可能性を示唆する。「貧困の実態を統計モデルなどで評価し、IT技術を使った新たな金融サービス、フィンテックなどに結びつけるビジネスなどもありうるのでは」と提案した。

「Be a DIVER!」を主催するリクルートホールディングスCSR推進部の菅原聡氏は、「リクルートの事業モデルに視点や属性の多様性を広げたい」と成果を期待する。同社でのダイバーシティの取り組みは、CSRからCSVへ、そして多様な視点が混在しながら一体化する「インクルージョン」へと進化しつつある。

2017年3月31日(金)14:12

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