SDGs実装元年は陰徳から「開示型の三方よし」

笹谷秀光
伊藤園 顧問
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フランスを代表する世界文化遺産、モン・サンミシェル。かつて陸続きにしてしまい世界遺産のまわりの生物多様性が失われたので、橋を架ける大工事と電気バスシャトルの設置を行い、今や海の干潟の生物多様性がよみがえった。SDGsの目標14「海」15「生物多様性」や11の「住み続けられるまちづくり」に該当する。目標年次2030年にどのような世界にすべきか考えながら今あるべき姿を描く。これをバックキャスティングという。SDGsは考えるヒントを色々くれる未来目標だ。(伊藤園 常務執行役員=笹谷 秀光)

フランス世界文化遺産、モン・サンミシェルで

■ソフトローの世界へ

今は、義務を伴ういわゆる「ハードロー」から自主的な取り組みを促す「ソフトロー」への移行の流れが顕著だ。最近ではTPP11が地域協定なのでようやく発効しそうだが、世界中の国々の制度を縛るハードローは利害の対立で国際的な合意が難しくなった。2001年発足したが以降合意ができないWTOの貿易ルールなどが代表的なものだ。

ISO26000、SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)など社会的責任に関する規律はソフトローが多く、順守義務や外部チェック機関の認証がある仕組みではない。これらは企業が自発的・自主的に運営・活用する仕組みである。

■Comply or Explainの世界へ

日本では2014年の日本再興戦略によりスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードができたが、これもソフトローであり、「コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)」のルールである。

「ルールに従え(comply)、従わないのであればその理由を説明せよ(explain)」という仕組みだ。

日本企業はともすれば国から示される法令に従うことは得意だが、自発的・自主的な制度活用は日本よりも欧米企業の方が慣れていると思う。そろそろ日本企業もソフトロー型のルールに慣れていく時期に来ている。

自発的・自主的な制度活用では情報開示を強化しステークホルダーがチェックしていく流れだ。その最たる動きがESG投資の動きである。これに対応するため、いよいよ日本企業も発信性・開示性を高めるべきだ。

■「発信型・開示型の三方よし」へ

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笹谷秀光
伊藤園 顧問
東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年伊藤園入社、2010-2014年取締役、2014-2018年常務執行役員、2018年5月より現職。幅広いテーマで講演等に登壇。著書『CSR新時代の競争戦略-ISO26000活用術』(日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代―ビジネス思考の日本創生・地方創生―』(ウィズワークス社・2015年)。

2018年3月22日(木)12:43

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