ドイツ 診療バスでコロナ感染者を各地で追跡

新型コロナウイルス感染対策で優等生だといわれるドイツでは、1日あたりの新たな感染者が5月初旬に約1200人になり、下旬には約300人に減少、6月中旬も同様の人数だ。未報告だった感染者数をより正確に把握してウイルスの蔓延をマッピングしようと、現在、診療バスを使い、各地で計8000人を調査する予定だ。(チューリヒ=岩澤里美)

ドイツ各地を巡る診療バス (c)DB AG / Dominic Dupont

ドイツ政府の国立感染症研究機関ロベルト・コッホ研究所(RKI)は、感染者のうちどのくらいの人がウイルスに対する抗体がつくられたのか、また病状が表れなかったのかを把握するための研究「地域のコロナモニタリング」を開始した。

まずは、南西部のバーデン=ビュルテンベルク州の人口約6200人の町クプファーツェルで、住民2000人を対象にした。同村は3月初めに開かれた教会コンサートで82人が感染し、すぐに国内の感染のホットスポットの1つになった場所。

研究への参加は任意で、参加者たちはコロナウイルス検査、血液採取を受け、病歴と社会的接触についての情報を伝える。この検査にドイツ鉄道(DB)の移動診療バス「DBメディブス」2台が使われている。

診療バスの仕組み(c)Deutsche Bahn AG

メディブスは都会から離れた医療機関が不足している地域の一般診療用に作られたバスで、待合室、診察室2つ(1室は机と椅子のみ、1室はベッドあり)、検査室(薬品などを保管)を備えている。エアコン付きで、ネット使用可。バスの屋根にはソーラーパネル16個が取り付けてあり、生産した電力を車内で使っている。

メディブスは、2019年秋、社会的な生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)に多大な貢献をしたプロジェクトに与えられるドイツ・モビリティ・アワード(応募総数約270)を受賞した。

クプファーツェルでの調査は6月初旬で終了し、バスはこれからほかの町へ向かって調査が続く。最終的に8000人のデータが分析される。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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