トヨタの「問題解決」:計画と実績の「ずれ」を記録

トヨタ財団は9月15日、「2020年度 トヨタNPOカレッジ『カイケツ』」の第4回をオンラインで開催した。トヨタ自動車の問題解決手法をNPOに伝えることで、組織力の強化や社会課題の解決に役立ててもらうことが目的だ。今回は「目標設定」と問題の真因(真の要因)を追究する「要因解析」を進めた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

■できるだけ多くの要因を書き出す

魚の骨図とも呼ばれる「特性要因図」の一例(2019年度「カイケツ」の実績から)

「要因解析」は、取り組む問題に対する「真因」(真の要因)を特定するステップで、その真因に対する対策立案につながっていく。要因解析の手法として知られているのが、「なぜなぜ分析」や「特性要因図」(フィッシュボーン図)だ。

「なぜなぜ分析」は、問題に対して「なぜ」を5回繰り返すことで、引き起こした要因を探る手法。「特性要因図」は、「人」「方法」「設備」「製品・材料」の観点から、魚の骨のように要因を洗い出していくのが特徴だ。

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」では、NPOに対し、参加者単独ではなく、組織のメンバーとともに、考えられる要因をできるだけ多く書き出してもらうことを奨めている。

カイケツの古谷健夫講師(クオリティ・クリエイション代表、元トヨタ自動車)は「『要因解析』は、多くの知恵や仲間の協力が必要で、問題解決の山場ともいえる。要因解析をどこまでできるかが、問題をどこまで解決できるかに影響してくる」と説明する。

参加するNPOの多くは、人材育成や業務の集中などに悩みを抱えている。あるNPOは、事業が拡大する一方で、個人のモチベーションが低下し、中堅層の離職が続くという状況にあった。そうした危機感からカイケツに参加し、組織内で問題の要因分析を進めている。

古谷講師は「『トップが悪い』『組織が悪い』だけでは前に進めない。要因解析を行うことで、全体を俯瞰して問題の要因を見つけることができる。みんなで話し合いながら、法人としてのビジョンを再確認し、自分たちの役割を明確化していくことが必要ではないか」とアドバイスした。

■計画と実績の「つじつま」を合わせない

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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