仏オーガニック大手ビオセボンはなぜ破たんしたか①

オーガニック市場がフランスで拡大を続けるなか、仏オーガニックスーパー大手の「ビオセボン」が9月、会社更生法を申請した。フランスで120以上の店舗を持ち、イオンと共同出資し日本にも19店を展開する同社がなぜ経営難に陥ったのか。2008年に不動産業という異業種から参入し、10年で急成長した業界の異端児は、資金調達と経営形態も同業他社とは異なっていた。2000人以上の個人投資家に支えられていた特殊事情も探る。(在パリ編集委員・羽生のり子)

パリのビオセボン店舗

パリの5大オーガニックチェーンの一つ

ビオセボンは従業員数1500人以上、欧州ではベルギー、スイス、スペイン、イタリアにも店舗を展開している。商業店舗を扱う不動産会社マルヌ&フィナンス(1999年設立)が始めた。同社のティリー・シュラキ社長がビオセボンの社長も兼ねている。

パリとその近郊にあるオーガニック5大専門チェーンは「ビオコープ」「ナチュラリア」「ラヴィ・ウレール」「ビオセボン」「レ・ヌーヴォー・ロバンソン」である。このうちビオコープとレ・ヌーヴォー・ロバンソンは協同組合。ナチュラリアは都市を中心に多数展開する専門店だ。

1948年創立のラヴィ・クレールはフランス最古のオーガニック専門店で、市場占有率はビオコープに次いで2位の大きなチェーン店だ。こうした中で、食品流通の経験がなく、いきなりオーガニック市場に入ったビオセボンの存在は際立って異色だった。

かわいい羊をアレンジした洒落た店舗デザインもサービスも、自然やエコロジーを強調する従来のオーガニック専門店と異なっていた。筆者は2016年末に日本進出が決まった直後に取材をした時、裕福な客に高級惣菜やパティスリーを販売する店のような、オーガニック専門店らしくないサービスの仕方に驚いた。

話を聞いた当時のマーケティング部長は、入社前は高級ブランドの世界にいたという。フランスのビジネススクールのトップにランクされるHEC経営大学院を出たエリートだった。

経営形態も他社とは異なっていた。1店舗ごとに、あるいは数店舗をまとめて中小企業を作った。どの店の代表者もシュラキ社長だ。競合店のナチュラリア、ラヴィ・クレールにはフランチャイズ店があるが、ビオセボンには1店もない。全て本部直轄である。日本進出当時は年商も従業員数も非公表で、年商を公表している競合店に比べ、不透明さが目立った。

7%の高利回りを保証し、多くの個人投資家を集めた

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2020年10月12日(月)10:35

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