樋口武男・大和ハウス工業会長の「熱湯経営」的CSRとは

樋口武男・大和ハウス工業会長

大和ハウス工業の樋口武男会長は、関西の名物経営者の一人になった。大企業病を克服する過程を描いた「熱湯経営」(文春新書)は9万部のベストセラーに。石橋信夫・同社創業者の精神や哲学を受け継ぐ語り部として、若い社員たちにもエールを送り続けている。(聞き手・オルタナ編集長 森 摂=2008年9月に発行したオルタナ10号から転載、肩書きや数字は当時のまま)

――「熱湯経営」を読み、僕も感銘を受けました。その中で「会社はだれのものか」「何のために仕事をしているのか」に力点が置かれていると感じました。

創業者は常に「大和ハウスは社会の公器である」と言っていました。「公器」という考え方でいけば、社会のためにも必要だし、株主さんにも迷惑を掛けられないし、社員を路頭に迷わせられない。創業者の考えのベースはここなのです。これを今の役員や社員にどう伝えていけば良いのかと考え、社員教育の材料として作ったのが、この本です。

■ 事業を通じて、社会に貢献を

――CSR(企業の社会責任)は何も今に始まった話ではない。石橋信夫さんも創業時から強く意識されていたと伺っています。

創業者の目標は「事業を通じて国家社会に貢献すること」でした。公器であれば、社会に必要とされる事業をしなければならない。だから1959年に「ミゼットハウス」をつくった。

あの当時は子供たちが家で勉強する部屋がなかった。それをミゼットハウスが解決したのです。どんな企業でも、世の中が必要としてくれる事業を推進していくことが使命だと考えています。

――その精神は今後、御社の事業にどのように生かされていくのでしょうか。

住宅もかつてはストックより明らかに所帯数のほうが多かった。今は逆に、670万戸ぐらいの住宅が余っています。その代わり、高齢化によるバリアフリー需要など、リフォーム市場は6兆円を超えています。将来は10兆円を超えるでしょう。

このほか弊社は住宅用のリチウムイオン電池や、介護に必要な「ロボットスーツ」、食糧危機を救うための農業の工業化などを次世代の事業の柱にしたいという思いで、投資をしています。

■ 新しい住宅でCO2を半減

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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