SDGsアウトサイド・イン: 建物災害対策を認証で見える化

記事のポイント


  1. 日本不動産研究所は建物のレジリエンス(強度)を測る認証を始める
  2. 認証は水害や地震・津波など7つの自然災害への強度を「見える化」
  3. 自然災害が激甚化するなかで、災害対策のレベル向上を促す

日本不動産研究所は自然災害に対する建物の強度を測る認証を開始する。認証は、水害や地震・津波など、7つの自然災害に対して建物のレジリエンス(強度)や対策を評価する。認証を通じて「見える化」することで、災害対策のレベル向上を促す。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

自然災害が激甚化するなかで重要となる建物の「レジリエンス」

認証の名称は「ResReal(レジリアル)」。2023年1月に認証を開始した。現在は水害版を運用していて、1~2年ほどかけて地震・津波、高潮、土砂災害、猛暑、噴火を開発する。

運営するのは日本不動産研究所(東京・港)、建設技術研究所、イーアールエス(東京・中央)の3社となる。

19年末に野村不動産投資顧問が発起人となってプロジェクトが立ち上がり、約3年をかけて開発した。

■きっかけは物件での水害被害

きっかけとなったのは、野村不動産投資顧問が運用する物件で水害被害を被ったことだった。これをきっかけに自社で自然災害に備えるためのシステム開発などを行ったが、「業界全体の取り組みにしていきたい」と考え、7社でプロジェクトを発足させた。

認証は「レジリエンスが極めて高い」から「レジリエンスが一般的」までの5段階で評価する。

現在、認証物件数は15件だ(9月末現在)。リートやファンドなどが中心となる。認証の運用を行う日本不動産研究所の古山英治・業務部次長は「現在、認証を進めているのが約12件ある」と言い、初年度の認証件数は30を見込む。

「日本での物件購入に関心のある海外投資家から物件の価値やリスクを精査するデューデリジェンスのために活用したい、といった要望がある」とも話す。

現在は建設済みの不動産を認証しているが、建設中物件への認証も年明けに始める。

自然災害対策はこれまで地震がメーンだったが、水害対策も線状降水帯や台風などで関心が高まっている。

「認証を取得することで現在の対策レベルを見える化することができる。認証取得が自然災害対策にさらに取り組んでいくためのきっかけにしてもらいたい」(古山氏)

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萩原 哲郎(オルタナ編集部)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #サステナビリティ

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