企業は「マテリアルファクター」をどう見つけるべきか

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記事のポイント


  1. 企業への投資判断にあたり非財務情報を勘案するESG投資が広がる
  2. 一方、ESG投資の判断手法は発展途上でもある
  3. 重要な要素が「マテリアルファクター」の適切な特定だ

企業への投資判断にあたり環境(E)・社会(S)・企業統治(G)からなる非財務情報を勘案するESG投資が広がっている。その一方で米国を中心に反ESG運動も広がる。主な論点は受託者責任への抵触可能性だ。運用会社などが委託者・受益者に負う責任、つまり収益確保を果たす上で、ESG投資は不適切とする主張である。(新語ウォッチャー・もり ひろし)

もちろんESG投資の目標は「企業価値」に影響を与える非財務情報を勘案することにある。そのため、理念に限って言えば、ESG投資と反ESG運動の主張に齟齬はない。ただし、ESG投資の判断手法は発展途上でもある。

発展のために重要な要素の一つが、各産業における「マテリアルファクター」(企業価値に最も影響があるESG上の重要課題)の適切な特定だ。この課題は産業ごとに異なり画一的判断が難しい。

この問題について米NPO・SASB(サステナビリティ会計基準審議会)では、77業界の最重要課題を各々選び公開している。

例えば広告業界では、プライバシー保護・販売慣行・D&I(多様性と包摂性)が最重要課題となる。この取り組みにより、投資家が意思決定する際の比較可能性が高まる。

morihiroshi

もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG

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