記事のポイント
- フェア・ファイナンス・ガイド・ジャパンは「銀行格付けスコア」を公表
- 大手銀行の投融資方針を、環境・社会性の視点から格付けを行った
- みずほが資産運用におけるESG方針を大きく改善し、首位に
銀行格付ウェブサイト「フェア・ファイナンス・ガイド・ジャパン」はこのほど、2023年版の「銀行格付けスコア」を公表した。国内大手銀行の投融資方針について、環境・社会性の視点から格付けを行った。みずほフィナンシャルグループが、資産運用におけるESG方針を大きく改善し、総合点4.1点となり、首位になった。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)
今回トップのみずほは、グループ傘下の運用会社であるアセットマネジメントOneが議決権行使ガイドラインを強化した。OECD多国籍企業指針などの国際規範を判断基準に導入したことにより大きくスコアを伸ばした。
業界最大手7社の総合点(10点満点)は、次の通りだ。
みずほフィナンシャルグループ(4.1)、農林中央金庫(3.8)、三菱UFJフィナンシャルグループ(3.6)、三井住友トラスト・ホールディングス(3.5)、三井住友フィナンシャルグループ(3.2)、りそなホールディングス(2.7)、ゆうちょ銀行(1.3)、。
環境・社会性のテーマは、気候変動、自然環境、人権、労働、兵器産業、健康の6つ。格付けの根拠となる投融資方針も示され、どの銀行がよりフェアな方針を持っているか知ることができる。
2050年までに投融資ポートフォリオの排出量ネット・ゼロを目指す動きでは、三菱UFJ、みずほ、三井住友、農林中金が、新たに2030年中期目標を掲げた。
りそな以外の6金融機関は新規の石炭(一般炭)採掘事業の融資停止方針を示した。さらに、みずほは化石燃料企業からのフェーズアウト方針を体系化した。
森林セクターやパーム油セクターへの支援の際には、配慮を求める。三菱UFJ、みずほ、三井住友、三井住友トラスト、農林中金は、森林セクターに対してFSC認証などの取得を求める。パーム油セクターに対しては、RSPO認証の取得を求める。
フェア・ファイナンス・ガイドは、大手金融機関の投融資方針の社会性をスコアリングし、その結果を分かりやすく市民に提供する。このことを通じて、金融機関のESGの取り組みに良い競争をもたらすことを目指した。
2009年にオランダのNGOが開始し、2014年から日本も参加(今回で調査は10回目)。現在では、15カ国でスコアリングを発表している。
現在ウェブサイトは、スウェーデン国際開発協力庁(SiDA)の助成を受け、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、アジア太平洋資料センター(PARC)、特定非営利団体APLA、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の4団体が運営している。
メコン・ウオッチ、アムネステイ・インターナショナル、アシード・ジャパン、フレンド・オブ・アース・ジャパン、グリーン・エコノミー・フォーラムの5団体が協力団体となっている。