記事のポイント
- COP28で米国や日本などが原発発電容量を3倍に増やすことに賛同した
- この文書に賛同したのは、米国、日本、英国、フランス、韓国など22カ国
- 国際環境NGOからは批判の声が相次ぐ
アラブ首長国連邦のドバイで開催中のCOP28において、米国や日本など22カ国が世界の原子力発電所の発電容量を3倍(2020年比)に増やすことに賛同した。温室効果ガスの排出量を減らすための施策だが、国際環境NGOからは批判の声が相次ぐ。(オルタナS編集長=池田 真隆)
COP28の3日目の12月2日、米国や日本など22カ国が2050年までに世界の原子力発電設備の容量を2020年比で3倍に増やすという文書に賛同した。
署名した22カ国は、米国、日本のほか、アラブ首長国連邦、ウクライナ、英国、オランダ、ガーナ、カナダ、韓国、スウェーデン、スロバキア、スロベニア、チェコ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ポーランド、モルドバ、モロッコ、モンゴル、ルーマニア。
設備容量を増やすだけでなく、小型モジュール炉(SMR)や先進炉の導入拡大も目指す。原子力を利用した水素の製造も文書に盛り込んだ。
この発表を受けて、国際環境NGO 350.orgの伊与田昌慶ジャパン・キャンペーナーは、「パリ協定の気候目標に向けて必要な脱炭素化を加速させるために、危険な原子力を利用する余地はない」と指摘する。
「日本では、2011年に東京電力福島第一原子力発電所事故が発生したが、いまだにその原因は特定されておらず、多くの人々が苦しんでいる。日本は、気候危機を利用して原子力への依存を正当化する一方で、CO2を大量に排出する産業の化石燃料ビジネスを延命させようとしている。それは危険な目くらまし以外の何ものでもない」
再生可能エネルギーと省エネルギーを推進する方が、気候危機に対する、より安価で、より安全で、より民主的で、より迅速な解決策だとした。