■ 車と自然保護がつながる

トヨタが保全に取り組むスミレコンゴウインコ(ブラジル)

――企業の事業活動には「生態系サービス」(人類の利益になる生態系に由来した機能)が必要です。

国連の呼びかけで発足した世界的なプロジェクト「ミレニアム・エコシステム・アセスメント」では、「生態系サービス」の3分の2が劣化傾向にあることを明らかにし、その傾向はこれからも続いていくと2005年に発表しました。

企業と言っても、資源開発や食品系などの企業は、直接に生態系とかかわりがありますが、製造業などは間接的なかかわり方をしています。トヨタを含め、日本は製造業が多く、ゆえに生態系とのかかわり方も間接的であることが多いと言えます。

――企業にはどのような期待があるのでしょうか。

大きく分けて、4つあると思います。

1つは、「資金援助」。そして、「技術貢献」。3つめは、「本業での改善」。最後に「社員の力」です。

日本企業に対する海外からの期待で多いのは、自然保護につながる技術開発です。

例えば、IUCNでは絶滅の恐れがある種をリストアップした「レッドリスト」を提供しています。現時点では最も網羅的で、権威ある、地球上の生物種の状態を知るための情報源ですが、これは、複数のIT企業の協力によってデータベース機能の改善を実現することができました。また、別のIT企業は海洋保護区のデータベース作りに協力してくれています。

今後、人工衛星を使ったモニタリングやゲノム分析技術など、日本の技術をうまく自然保護につなげていってほしいです。そうすれば、科学的に知られている約190万の生物種のうち、まだ約5万種しかアセスメントが実施されていない現状が改善できると思います。

もし、網羅的にアセスメントできれば、地球上の生物の状態やトレンドをもっと正確に評価でき、それを保全計画や環境影響評価、開発計画へ反映することができるようになるのです。「バロメーター・オブ・ライフ」というコンセプトです。

――トヨタの活動をどう見ていますか。

低燃費車やSUV車も自然保護活動につながっています。国立公園などオフロードの保護地域では、故障の少ない日本のSUVがよく使用されています。ブラジル・トヨタが、絶滅の危機にあったスミレコンゴウインコの保護・増殖プロジェクトにランドクルーザーなどの車両を寄贈したそうですが、車の提供も、技術的な貢献といえます。

本業での貢献として、プリウスなどの低燃費車を製造しながら、国内外の自然保護活動を資金面で支えている点も素晴らしいと思います。トヨタは世界中で知られている企業ですし、トヨタの取り組みが日本企業のスタンダードだと思われていると自覚し、取り組んで頂けたら嬉しいですね。

スミレコンゴウインコの保護・増殖プロジェクトに提供された車両(ブラジル)

■ 海の保護地域は1%

1 2 3 4