安易な「カーボンニュートラル」表現、欧州で使用禁止に

記事のポイント


  1. 欧州議会は、製品表示に、誤解を招く環境主張の使用を禁じる指令を採択した
  2. 製品の耐久性に関しても、早期の陳腐化につながる表示を禁じる
  3. グリーンウォッシュのマーケティングから消費者を保護することが目的だ

欧州議会は1月18日、製品表示に誤解を招く環境主張の使用を禁止する指令を採択した。カーボンオフセットのスキームを利用して、「カーボンニュートラル」「排出を削減」「環境にポジティブな影響」と謳うことも禁じる。環境や耐久性に関するグリーンウォッシュのマーケティングから消費者を保護することが目的だ。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

欧州議会は安易な「カーボンニュートラル」表現を使用禁止に

欧州議会は1月18日、賛成593票、反対21票、棄権14票で新たな指令「欧州グリーンクレーム(環境主張)命令」を採択した。

「新たな法律は、すべてのヨーロッパ人の日常生活を変える。マーケティングの透明性を高め、商品の早期陳腐化と戦うことで、使い捨ての文化からの脱却を図る」と、EU議会で本法案のラポーター(報告作成、担当議員)を務めたビリャナ・ボルザン氏はコメントした。

新たな指令は、「環境にやさしい」「天然」「生分解性」「気候中立」「エコ」など、企業が一般的な環境主張を証拠なく使用することを禁止する。公式な認証スキームや公的機関の導入したサステナブルラベルだけが使用可能となる。

製品表示を、より明確で信頼性の高いものへと規制することで、消費者を、グリーンウォッシュのマーケティング手法から保護し、より良い購買選択を促す。

耐久性についても、事実に基づかない表現や、必要以上に消耗品の交換を促す表示、修理可能でない製品を修理可能であるかのように謳うことを禁止する。保証情報をより見えやすくするほか、新たな統一的なラベルの導入で、保証期間の延長された製品を目立たせるなど、生産者・消費者の双方に耐久性への重視を促す。

本指令は、EU理事会の最終承認を経て、2026年までにEU加盟各国の国内法に移行する。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #サステナビリティ

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