記事のポイント
- 英アストラゼネカは新幹線の使用に伴うCO2排出量を実質ゼロ化した
- JR東海、JR西日本と組みこの仕組みを開発、4月から他社への販売も行う
- 通常の料金に数十から数百円追加することでこのサービスを使うことができる
英アストラゼネカは2月15日、JR東海、JR西日本と組み、新幹線での出張に伴うCO2排出量を実質ゼロ化するサービスを開発した。日本政府が掲げるカーボンニュートラルを達成するには、自社だけでなく、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められている。新幹線での移動に関するCO2排出量は、サプライチェーンの一つに該当する。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

このサービスはJR東海とJR西日本のエクスプレス予約法人会員を対象に4月から販売を行う。通常の料金に加えて、数十円から数百円追加で支払うことで利用可能だ。サービスを利用した場合、新幹線の移動に伴うCO2を実質ゼロに計上できることがメリットだ。
サービスの仕組みはこうだ。JR東海とJR西日本が電力会社から「CO2フリー電気」を購入する。CO2フリー電気とは、太陽光発電など、発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー電源由来の非化石証書を付与した電気を指す。

サービスの利用者には、JR東海またはJR西日本が「証書」を発行する。これは、CO2の削減効果に関する証書だ。同サービスを利用しなかった場合と比べて、削減量を示した。
アストラゼネカは2030年までにCO2排出量よりも吸収量・除去量を多くする「カーボンネガティブ」を目指す。「出張」に伴うCO2排出量は、サプライチェーンの一つに該当する。同社の脱炭素化への考えにJR東海とJR西日本が共感したことで、3社が連携し、このサービスを構築した。
アストラゼネカの堀井貴史社長は、「気候変動は21世紀最大の公衆衛生の危機。気候変動関連死は新型コロナウイルスによる死亡者数を超えると予想されており、この危機に立ち向かうには、社会全体で連携して大幅なCO2排出の削減に取り組むことが不可欠だ。本スキームが企業の環境保全の新たなスタンダードの確立に寄与することに期待している」と話した。