記事のポイント
- 日本では、3年や5年で中期経営計画を策定・公表する企業が多い
- だが、不確実性の時代では「バックキャスト型の戦略」が重要だ
- 味の素は長期視点に基づく独自のバックキャスト経営に舵を切った
企業は「長期視点」に立ち、揺るぎない自社の価値観(企業理念、パーパスなど)を持つことが何より重要です。その上で、ありたい姿としての「長期ビジョン」を設定し、その実現に資するバックキャスト型の経営戦略を策定・実行することが求められます。同時に企業は、組織能力としてアジャイル(俊敏)な変化対応力を備えておくことも重要です。(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)
日本では、3年や5年という一定の時間軸で区切った中期経営計画を策定・公表する企業が多いと言われています。
日本IR協議会が2022年6月に公表した「IR活動の実態調査」によれば、IR実施の日本企業の内、中期経営計画を策定・公表している企業は70%に及びます。(2022年1月時点の全株式上場会社3987社が対象。1047社から回答あり。内、97%がIR活動を実施)
中期経営計画を策定しているが、公表していない企業の割合は14.9%。中期経営計画を策定している企業は全体の84.9%に達します。
中期経営計画は、投資家との対話や内部管理などのために活用され、一定の役割を果たしていると考えられます。一方、「多くの企業が中期経営計画の3年間という短期的な時間軸に捉われており、抜本的な取り組みに着手しにくい」などの課題も指摘されています(2023年12月11日 経産省「第1回グローバル競争力強化のためのCX研究会」事務局提出資料他)。
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