ジェンダー平等の模範国・フィンランドの「光」と「闇」

オルタナ76号「ジェンダードイノベーション」特集から

ジェンダー・ギャップ指数で世界3位と男女格差が小さいフィンランド。就労率が男女ともに約 70%と高く、政治参加や教育の分野でも高い平等指標を打ち出す同国は、国際的にも男女平等のモデル国として重要な役割を担っている。そのフィンランドでは、ジェンダード・イノベーションの一環として、技術分野における男女格差の解消に取り組んでいる。その背景には女性に対する暴力の問題と、なかなか縮まらない男女間の職域分離に起因する賃金格差が潜んでいる。(在ヘルシンキ=靴家さちこ)

2023年6月にヘルシンキで開催された国際女性フォーラム。女性に良い国トップ5に常駐するフィンランドだが、男女平等意識の停滞も指摘されている(C)Teemu Kuusimurto (c) Keksi Agency
2023年6月にヘルシンキで開催された国際女性フォーラム。女性に良い国トップ5に常駐するフィンランドだが、男女平等意識の停滞も指摘されている(C)Teemu Kuusimurto (c) Keksi Agency

2019年から2023年まで務めたサンナ・マリン元首相を筆頭に、政治における女性の代表が増加したフィンランド。生理用吸水ショーツなどのフェムテック商品も普及し、女性の重い生理の対策も医療として対応している。

一見順調な同国だが、「男女平等が実現している」と感じている女性はわずか20%、男性でも50%に留まる。EU加盟国における最新の男女平等指数では昨年の4位から8位に落ちた。フィンランド国立保健福祉研究所はフィンランドの男女平等の進展がEU平均よりも遅く、現状に満足し、問題意識が停滞していたことを指摘した。

(この続きは)

■「ミスコンで政治をするな」という野次からセクハラ被害まで
■縮まらない男女間の職域分離と賃金格差

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #ジェンダー/DE&I

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