コスメブランド「SHIRO(シロ)」を展開するシロ(東京・港)は3月11日、農林水産省と「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結した。新築や改修時に地域材を活用することで、5年間で計500立法メートルの利用を目指す。4月に北海道長沼町にオープンする宿泊施設にも、間伐材を活用する。(オルタナ編集部・吉田広子、金子愛子)

「建築物木材利用促進協定」制度は、脱炭素化の促進と、林業・木材産業や地域の活性化を目的として設立された。
今回、農水省と同協定を締結したシロは、スキンケア商品や化粧品、フレグランス類を展開する北海道生まれのブランドだ。国内29店舗のほか、台湾とロンドンにも店を構える。
同社は自然素材にこだわるとともに、資源を無駄にしない製品づくりを進める。固くて食べられないがごめ昆布の根元や酒かす、虫に食われて出荷できないラワンぶきなど、捨てられてしまう素材を活用してきたという。

地域材の利用にも力を入れ、これまで、製造拠点である「みんなの工場」(北海道砂川市)でカラマツの間伐材を採用したり、京都の店舗で飛騨の広葉樹を採用したりしてきた。4月に北海道長沼町にオープンする一棟貸しの宿泊施設「MAISON SHIRO(メゾンシロ)」では、トドマツ、カラマツ、白樺といった北海道産の木材を使用する。
福永敬弘社長は「建築のために森や山が存在するのではなく、森や山のために建築がある。設計ありきで世界中から木材を調達する慣習があるが、森の状況に合わせた建設を行っていきたい。未来のために森の循環を考えていくことが、自然の恩恵を受けている私たちの責任だ」と語った。