記事のポイント
- JCNEはNPOの信頼性についての意識調査の結果を公表した
- 組織別の信頼度は、「民間企業」が最も高い24.5%で、次に「NPO」の20.2%だった
- NPOの信頼度は、「政府」13.2%、「マスメディア」12.4%を上回った
非営利組織のガバナンス評価を行う公益財団法人非営利組織評価センター(JCNE、東京・港)はこのほど、NPOの信頼性についての意識調査を実施し、その結果を公表した。組織別の信頼度は、「民間企業」が最も高い24.5%で、次に「NPO」の20.2%、「政府」13.2%、「マスメディア」12.4%と続いた。(オルタナ副編集長・吉田広子)
「NPO」は「Non-Profit Organization」の略で、非営利組織を意味する。
日本では、特定非営利活動促進法が1998年に施行され、特定非営利活動を行う団体に法人格「特定非営利活動法人(NPO法人)」が付与されるようになった。NPO法人は、日本に5万団体超ある。
NPO法人以外にも、社団法人や財団法人、社会福祉法人なども、公益性を追求する組織として、NPO(非営利組織)に含まれる。
NPOの活動領域は、保健や医療、福祉、教育、まちづくり、災害救助、人権、環境、国際協力など多岐にわたる。社会課題を解決する主体として期待が高まる一方で、「NPOはあやしい」「うさんくさい」といったイメージも根強い。
その結果、寄付集めに苦労したり、組織や活動について理解してもらうのに時間がかかったりする場合も多いという。
そこで、JCNEは2018年、ガバナンスを「見える化」することで、NPOの信頼性向上を後押ししようと、NPO向けのガバナンス評価制度を立ち上げた。2023年12月には、NPOに対する意識調査(3000人)を実施した。
■ 情報公開が信頼性向上のカギに
調査の結果、組織別の信頼度では、「民間企業」が最も高い24.5%で、次に「NPO」の20.2%、「政府」13.2%、「マスメディア」12.4%と続いた。倫理観についての信頼度は、「NPO」が最も高い24.3%で、「民間企業」は23.4%、「政府」は16.2%、「マスメディア」は14.5%だった。
「NPOを信頼している」と回答した人のうち、具体的なNPOまで思い浮かぶ人は32.2%にとどまった。瀬上倫弘・JCNEマネージャーは、「NPOに対する全体的なイメージと、具体的に信頼できる団体の認知にはギャップがあるようだ」と分析する。
では、どのようにNPOの信頼性を高めていけるのか。
意識調査では、信頼できるNPOの要素として、5割以上の人が「情報が公開されていること」「問合せ窓口があること」「適切な会計がなされていること」と答えた。NPOを信頼する人ほど、寄付傾向が高い傾向も見えた。
信頼できるNPOが増えていくために必要な取り組みとしては、「行政機関の認証で、信頼性が担保されたNPOを増やしていく」を選んだ人が28.5%、「NPOの活動をより多くの人に見てもらい、理解を深めてもらえるよう、普及活動を行っていく」は27.1%だった。
JCNEは今後も定期的に意識調査を続けいく方針だ。