記事のポイント
- 国内の研究グループは森林が大気中マイクロプラを捕捉することを実証した
- マイクロプラは空気からの吸入も多いが、森林による捕捉の研究はなかった
- 今回の研究で森林がマイクロプラ吸入のリスクを低減することが明らかに
日本女子大学を中心とする研究グループはこのほど、森林が大気中のマイクロプラを捕捉することを、世界で初めて実証した。マイクロプラスチックは経口摂取のほかに大気中からの吸入も多いと指摘されるが、これまで森林がマイクロプラスチックをどれくらい捕捉しているのかの研究はなかった。今回の研究によって、森林がマイクロプラスチック吸入のリスクを低減する役割を果たすことが明らかとなった。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
研究は日本女子大学大学院理学研究科の宮崎あかね教授、理学研究科博士課程前期在学の須永奈都氏、早稲田大学理工学術院の大河内博教授、PerkinElmer Japanの新居田恭弘氏によって行われた。
森林には大気を浄化する「森林フィルター効果」がある。これまでの研究でも、2020年に初めて葉にマイクロプラスチックが捕捉されていることが報告された。一方で、先行研究では葉面の捕捉量が過小評価されている可能性や、高木で構成される森林による捕捉量や実態が不明だった。
2022年6月~8月に、日本女子大学西生田キャンパス内に植生するコナラの葉を採取し、3段階の洗浄でマイクロプラスチックの捕捉量を測定。アルカリ洗浄を開発し、植物の葉の表面を覆うエピクチクラワックスに多く付着していることがわかった。
これらの結果から研究では、森林がマイクロプラスチックの吸収源として重要であり、「国内の林業を再興し、森林を適切に管理していくことは、地球温暖化問題と大気中マイクロプラスチック問題の双方に対して有効な対策となりうる」と指摘した。
研究成果は米科学誌「Environmental Chemistry Letters」に掲載された。