記事のポイント
- ソニーグループは一般社団法人Arc&Beyondを設立した
- 同社団の基金に、同社が30億円を拠出し、その運用益を事業活動費に充てる
- セクターや業種を超えて社会課題の解決を目指す
ソニーグループは5月29日、社会課題を解決する新たなプラットフォームとして、一般社団法人Arc&Beyond(アークアンドビヨンド、東京・港)を設立したと発表した。社団内に立ち上げた基金に、同社が30億円を拠出し、その運用益を事業活動費に充てる。協力企業・団体を広く募集し、セクターや業種を超えて社会課題の解決を目指す。(オルタナ副編集長=吉田広子)
SDGs(持続可能な開発目標)の認知度が高まる一方で、解決すべき社会課題は山積している。貧困や福祉など、支援が集まりにくい領域もある。複雑で多様な社会課題の解決には、企業やNPO/NGO、行政などの「パートナーシップ(協働)」も不可欠だ。
そうしたなか、ソニーグループは、これまで培ってきた知見やノウハウ、社員のスキルなどを自社にとどめず、社会に役立てようと、独立した非営利の組織としてArc&Beyondを立ち上げた。
ソニーグループは、同法人の「Arc & Beyond 基金」に30 億円を拠出。投資会社に基金の運用を委託し、運用益を活動費に充てる。
Arc&Beyondは、プラットフォームとして、基金に拠出する「ファンドパートナー」と、社会課題解決事業を支援する「ソリューションパートナー」を募集する。
石川洋人・Arc&Beyond代表理事は「Arc & Beyondの理念に共感し、社会課題解決に貢献したいと考えるあらゆる法人・団体・個人の参画を募集する」と説明する。
Arc & Beyond は、教育や体験の機会の格差をはじめ、創造性の発揮や感動の享受を妨げている社会課題の解決に貢献する事業を手掛けるという。
現時点では、ソニーのプログラミング教材「MESH」を活用した少年院での教育プログラムや、スポーツ義足による走る体験機会の提供プログラムなどを想定しているが、パートナーとともに事業を展開したい考えだ。
「社会課題の複雑化・多様化が進む現代では、事業を通じて社会に創出されたインパクトや取り組みを客観的に評価し、持続可能な資金の流れをつくることが必要だ。Arc&Beyondは、事業やテクノロジーを活かしながら、社会課題を解決する『事業づくり』、事業を継続するための『仕組みづくり』、さまざまな人が助け合う『場づくり』に、ユニークな方法で取り組む」(石川代表理事)