記事のポイント
- 渋谷区で民間企業が「使い捨て傘ゼロ」を目指しプロジェクトを発足
- 渋谷区の半径600m以内に100カ所のシェア傘立てを設置する
- ペットボトルの再生素材を100%使用したサステナ傘の提供も本格化する
傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupは東急不動産HDと連携し、渋谷区での「使い捨て傘ゼロ」を目指す。渋谷駅から半径600m以内に100カ所のシェア傘立てを設置する。同時に、ペットボトルの再生素材を100%使用したサステナ傘の提供も本格化させる。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
アイカサを運営するNature Innovation Groupは2022年に「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」を立ち上げた。今回、街ごとで使い捨て傘ゼロを目指す「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクトfor City」を発表。まずは渋谷区で使い捨て傘ゼロを実現していく。東急不動産HDと連携し、渋谷区なども後援する。
気候変動が進むなかで、ゲリラ豪雨の発生回数も年々増えている。気象庁によれば、1時間降水量が80㎜以上などの強い雨は、1980年頃に比べて頻度が「2倍程度に増加」した。
これと並行するように傘の消費量も増える。国内での購入量は年間で約1.2~1.3億本、そのうち約8000万本がビニール傘と言われる。Nature Innovation Groupの丸川照司社長は「渋谷駅は半径600m以内に90のコンビニ店舗があるが、ひとたび雨が降ると1店舗あたり17本の傘が販売されているのでは」と推測する。
今回の取り組みでは、このコンビニ店舗数を超える100カ所のアイカサ傘立てを設置する。急な雨の際にも使い捨て傘ではなくシェアリング傘への使用を促す。目標は渋谷駅から半径600m以内に100カ所の傘立ての設置だ。丸川社長は「6月末で40カ所、7月末で100カ所、そして8月末には目標を超える150カ所に」と意欲を示す。
「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」の更なる拡大も図る。新たなパートナー企業に企業や団体など8社が参画した。それぞれのパートナーから1000本のオリジナル傘が提供される。
新たにパートナーとなった旭化成ホームプロダクツの担当者は使用済みジップロックを回収しシートに再加工して傘に再利用するなどの取り組みを紹介し、プロジェクトを通じ「循環型社会の実現を目指す」と話した。
アイカサもサステナ傘の導入を進める。ペットボトル再生素材を100%使用した傘で、担当者は「今後製造する傘は全て再生素材を利用した傘に切り替えていく予定」だという。現時点ですでに「全体流通数の6割程度にあたる2.5万本ほどが再生素材を活用した傘に切り替わっている」と話した。
丸川社長は「街のサーキュラーデザインの仕組みを傘からインストールしていき、CO2や資源の削減につなげていきたい」と締めくくった。