記事のポイント
- 世界最大の風力貨物船「アネモス」が、初の大西洋横断を達成した
- 風力を動力源とし、従来の貨物船に比べてGHG排出量を最大90%削減した
- 化石燃料からの脱却が難しい国際海運業界で、脱炭素の切り札となるか
フランス企業の世界最大の風力貨物船「アネモス」がこのほど、初の大西洋横断を達成した。全長80メートルのアネモス船は、8月16日にフランス・ブルターニュを出航し、9月3日にニューヨークに到着した。従来の貨物船に比べて、GHG(温室効果ガス)排出量を最大90%削減したという。(オルタナ副編集長=吉田広子)

国際海運からのGHG排出量は、世界全体の GHG 排出量の2~3%を占める。国際海事機関(IMO)は、2030年までにGHG排出量を20~30%削減、2050年ころまでに排出ゼロを目指すものの、化石燃料からの脱却は容易ではない。
そうしたなか、フランスの帆船貨物輸送ベンチャーであるトランス・オーシャン・ウィンド・トランスポート(TOWT)は、アネモス船を建造した。風力を動力源とすることで、GHG排出量を90%削減した。
8月16日には、ワインやシャンパンなど1.2トンの貨物を積んで、フランス・ブルターニュを出航。9月3日にニューヨークに到着し、初の大西洋横断に成功した。その後、コロンビアのサンタ・マルタに向かい、コーヒー豆を積み込んで、フランスの母港に戻る予定だ。
TOWT は、2028 年までに同じ規格の風力貨物船をさらに8隻建造する計画だ。